お金になる価値の必要条件と十分条件

イチゴ、リンゴ、ブドウの必要条件は果物で、イチゴ、リンゴ、ブドウはそれぞれ果物の十分条件に該当します。同様に、イヌ、ネコ、ウサギの必要条件は動物で、イヌ、ネコ、ウサギはそれぞれ動物の十分条件に該当しますが、同時にイヌ、ネコ、ウサギの必要条件としてペットも当てはまり、イヌ、ネコ、ウサギはそれぞれペットの十分条件にも該当します。イヌ、ネコ、ウサギのそれぞれの情報は変化しないのですが、人によってはイヌ、ネコ、ウサギと聞いた際に動物を連想する人もいれば、ペットを連想する人もいるのです。つまり、人はコミュニケーション(会話)する際にある情報を使う一方で、相手方がその情報をどのように認識しているのか確認することはほとんどありません。このことから、私たちの多くのコミュニケーションは相手が伝えてきた情報を自分なりに解釈することで理解を形成します。補足すると、話をしている相手はペットに対する比喩としてイヌ、ネコ、ウサギを話していたのに、あなたはその人が動物のことを話しているものだと理解してしまうかも知れないのです。このようなミスコミュニケーションは毎日のように起きていると思いますが、多くの場合、人はこの情報ギャップをあまり気にかけません。他方、この情報ギャップはお金のやり取りが生じる際には取り沙汰されやすい傾向があります。例えば、果物のパフェが5,500円税込ですと伝えられた場合、一般的なパフェの相場観よりも高めの価格で、なぜ高いのかなと思のではないでしょうか。猛烈にパフェを食べたい人もいると思いますが、多くの人は「果物」が気になると思います。そこで、「なんの果物ですか?」と確認するのではないでしょうか。仮に、果物はイチゴ、リンゴ、ブドウを使っていますと回答を受けたら多くの人は高いパフェだなと思うと思います。この一方で、果物はあまおう(高級イチゴ)、サンふじ(高級リンゴ)、シャインマスカット(高級ブドウ)を贅沢に使っていますと説明を受けたらどうでしょうか。あまおう、サンふじ、シャインマスカットの希少性や高級性を知っている人は5,500円税込でも食べたいと思うのではないでしょうか。つまり、必要条件で提示されていた果物のパフェに対して、十分条件であるイチゴ、リンゴ、ブドウが確認され、人がお金を払うためにはこの十分条件がある人がお金を払える十分条件を満たす必要があるのです。このケースの場合、あまおう、サンふじ、シャインマスカットの希少性や高級性を知っている人にとっては5,500円の果物のパフェはあまおう、サンふじ、シャインマスカットのそれぞれの情報が必要十分条件(必要条件と十分条件が一致する条件)となり、お金になる価値を形成するのです。正確には価値は情報の形、量、質から形成されるので、果物のパフェの価値をお金に変える手法は #価値経済工学 により数多く導き出すことができますが、ここでは #価値経済工学 におけるお金になる価値の必要条件と十分条件での解説に止めたいと思います。

ある情報(価値)の必要条件と十分条件が存在する場合、人は必要条件で話をする傾向がありますが、専門家は十分条件で話をする傾向があります。この必要条件の情報と十分条件の情報には情報キャップが存在するのですが、通常のコミュニケーションにおいてこの情報キャップはあまり重要視されませんが、マーケティングやブランディングをコンサルティングする専門家はこの情報ギャップを可視化するためにアンケートや主成分分析、デザインシンキング(デザイン思考)、近年ではAI技術などを用いて科学的、もしくは論理的に隠れた情報を抽出し、ある価値を開発することに役立てます。どのような手法を用いても全ての人に確実に購入してもらえる商品やサービスを開発することはできません。重要なのはある情報を既に知っている人に対してその人の価値観に適合する価値を提案し、その価値を構成している情報体にお金を払っても良い必要十分条件が含まれていることです。逆に言えば、ある情報を既に知っている人がお金を払ってでも購入する十分条件で価値(商品やサービス)を作り、より多くの人に伝えられる必要条件で価値(商品やサービス)を説明(広告)することができるとお金になりやすい価値(商品やサービス)を作ることができます。 #価値経済工学 ではこのプロセスをVD(Value Development)シートとVtoM (Value to Meney)チャートを作成することで誰でも価値の必要条件と十分条件を分析できるようになり、お金になる価値(情報)を作ることができます。但し、VDシートとVtoMチャートの作成には普段使わない思考を駆使したり、普段は考えないような当たり前のことを整理できたりする必要があります。最初はとても苦戦しますが、一定のトレーニングと正しい手順と手法を身に着けると今まで気が付かなった価値が分かるようになり、お金になっていなかった価値をお金に変えることができる気付きが身に付きます。

最後に、お金になる価値(商品やサービスの情報)を作るためにはお金を払う人達の価値観が一致する情報を抽出し、抽出された情報を商品やサービスの十分条件として説明(広告)するのが効果的で、同じ商品やサービスを説明したり広告したりする際に #価値経済工学 を用いた情報の抽出と組立を行うことでお金になる価値を作ることができるようになります。この手法の背景には行動経済学や心理学などで研究されているフレーミング効果(Framing Effect)が隠れていますが、 #価値経済工学 では #行動経済学 や金融工学の理論を実用的に応用することで、ビジネスで利用できる実用的なビジネスツールを研究開発しています。論理学と数学において、必要性と十分性を計ることがありますが、私たちのコミュニケーションの多くは必要条件で成立している一方で、お金になる価値は十分条件を満たす必要があるのです。