English follows Japanese.
価値経済工学とは、刻々と変化し増大する現代社会において、企業が活動を継続するための効果的なソリューションの一つです。企業のリソースを「交換性」「計測性」「貯留性」することで、企業の価値を高めたり、お金を生み出したりするための専門的な手法です。
価値経済工学の意義は、不確実性の高い現代において、企業が持続的に成長するために、将来のキャッシュ獲得能力を高めることにあります。単にコストを削減するだけでなく、新たな価値を創造し、それを効率的に収益化するための戦略や手法を提供します。
The Value Economisc Engineering is one effective solution for companies to sustain their operations in today's rapidly changing and expanding society. It is a specialized methodology that enhances corporate value and generates revenue by making corporate resources “exchangeable,” “measurable,” and “storable.”
The significance of value-based engineering lies in enhancing future cash-generating capabilities to enable sustainable corporate growth in today's highly uncertain environment. It provides strategies and methodologies not only to reduce costs but also to create new value and efficiently monetize it.

ビジネスの取引(トランザクション)においてお金のやり取りは欠かせない一方で、なぜ、お金のやり取りが必要なのでしょうか。商品やサービスの対価としてお金が交換されますが、お金以外に対価になる #価値 があればお金と同じ性質の #価値 であると見なせる気がしますね。
#価値経済工学 ではこのお金と同じ性質の #価値 を作るのが目的で、この目的を効率的に開発するための手法(ツール)を研究開発します。ここで問題になるのは #価値 の正体で、その中でもお金になる #価値 の正体です。
人間は食事を楽しむ際に五味を感じることで食事の美味しさや特徴を楽しみます。
同様に、お金になる #価値 にも五味を作る味の素のような素はあるのでしょうか。
金融工学や金融経済では、お金を機能として解説しています。お金には3つの機能があり、交換性、計測性、貯留性(保存性)がそれらの機能です。
お金は、商品やサービスの #価値 と交換することができ、商品やサービスの #価値 を計ることができ、お金は貯留(保存)することできて、必要な時に商品やサービスの #価値 と交換することができます。
つまり、ある #価値 にこのお金と同じ機能が備わっていたらこの #価値 はお金と同じ性質の #価値 として利活用できることになります。
言い方を変えると、お金になる #価値 の素は、ある #価値 の交換性、計測性、貯留性(保存性)で、この3つの素をある商品やサービスに備えることでただの #価値 がお金になる #価値 に類似するのです。
ここでの課題はただの #価値 をどのようにすると3つの機能を備えることができるのか分析する必要があるのです。
正確には、ある #価値 にただ3つの機能を無理に備えてもお金にはなりません。
美味しい食事には五味のバランスが取れているように、お金になる #価値 には3つの機能のバランスが取れている必要があるのです。
#価値経済工学 ではこの3つの機能を効率的に分析し、バランスの取れた3つの機能を備えた #価値 を作るために、VD(Value Development)シートを作成することで、 #価値 の正体を明らかにする分析を行います。
ある #価値 を構成している #価値 の要素を分析し、その各要素が備えている3つの機能を分析することで各要素の度合いを見える化して、第三者と共有できるようになります。
食事の味の分析には味覚センサーを用いることで味を見える化することができますが、全ての人が同じ味を感じる訳ではありません。
人は体調や環境(温度や湿度など)で同じ味であっても感じ方(味覚)が変わるのです。
お金になる #価値 にも同じような性質があり、同じ #価値 であってもある人にはお金と同じ #価値 になるし、ある人にはお金と同じ #価値 にならないのです。
これはある食事に対して好き嫌いが生じるようにお金になる #価値 にも好き嫌いが生じるのです。
この好き嫌いはある #価値 の素の特徴が際立っていたり、特徴が不足していたりするとある一定層の人達に対しては悪く影響する傾向があります。
この好き嫌い現象を少なくする方法としてあるお金になる #価値 の機能をより多くの人が受け入れやすい機能にバランスする手法があり、 #価値経済工学 ではVtoM(Value to Money)チャートを作成することでバランスの取れた機能を見える化しながら作ることができます。
このチャートでは、ある #価値 の機能が持っている情報の十分条件を分析することで、ある機能の素の正体を特定し、バランスの取れた機能を作るために必要な情報の必要条件を導き出します。
お金になる #価値 の素(機能)のバランスを取るためには #価値 の要素を効率的に抽出し、機能的に各機能のバランスを作る必要があるのです。
VDシートの作成とVtoMチャートの運用には練習が必要で、手順自体は簡単ですが、 #価値 が備えている情報を単純化したり、情報の正体を分析したりする作業には普段あまり使わない思考と考察が必要となります。
初めてVDシートやVtoMチャートを作成すると誰を対象とした情報や #価値 なのか分からなくなったり、余りにも単純な作業過ぎて何をするべきなのか分からなくなったりしてしまう傾向があります。
誰に対する #価値 と情報なのか情報の方向性を整えたり、 #価値 を構成している情報の正体(正確な意味)を手順に基づいて進めながら適切なインストラクション(指導)を受けたりすることで、誰でもバランスの取れた #価値 (情報体)を開発することを習得できます。
コロンブスの卵のように、誰もが思い付きそうで思い付かなかったような #価値 の素や、第三者が気付かないような盲点にある #価値 の素の発見や発想を導き出すことができるようになります。
お金になる #価値 の素はその #価値 が備えている要素と3つの機能を明らかにすることでその正体である情報の正しい意味が分かります。
お金になる #価値 の正体を明らかにするだけでは #価値 は必ずしもお金になりませんが、お金になる #価値 の要素と機能のバランスを作ることで、より多くの人に対して商品やサービスの #価値 が受け入れてもらえるようになり、結果としてお金と同じ性質を備えた商品やサービスの開発が可能となります。
全ての人がお金を払っても良いとなる #価値 を作ることはできませんが、 #価値経済工学 の手法を用いることで、効果的により多くの人に対してお金と交換しやすい #価値 を開発することができるようになります。
Ver. 231018002
著者 並木幸久

イチゴ、リンゴ、ブドウの必要条件は果物で、イチゴ、リンゴ、ブドウはそれぞれ果物の十分条件に該当します。
同様に、イヌ、ネコ、ウサギの必要条件は動物で、イヌ、ネコ、ウサギはそれぞれ動物の十分条件に該当しますが、同時にイヌ、ネコ、ウサギの必要条件としてペットも当てはまり、イヌ、ネコ、ウサギはそれぞれペットの十分条件にも該当します。
イヌ、ネコ、ウサギのそれぞれの情報は変化しないのですが、人によってはイヌ、ネコ、ウサギと聞いた際に動物を連想する人もいれば、ペットを連想する人もいるのです。
つまり、人はコミュニケーション(会話)する際にある情報を使う一方で、相手方がその情報をどのように認識しているのか確認することはほとんどありません。
このことから、私たちの多くのコミュニケーションは相手が伝えてきた情報を自分なりに解釈することで理解を形成します。
補足すると、話をしている相手はペットに対する比喩としてイヌ、ネコ、ウサギを話していたのに、あなたはその人が動物のことを話しているものだと理解してしまうかも知れないのです。
このようなミスコミュニケーションは毎日のように起きていると思いますが、多くの場合、人はこの情報ギャップをあまり気にかけません。
他方、この情報ギャップはお金のやり取りが生じる際には取り沙汰されやすい傾向があります。
例えば、果物のパフェが5,500円税込ですと伝えられた場合、一般的なパフェの相場観よりも高めの価格で、なぜ高いのかなと思のではないでしょうか。
猛烈にパフェを食べたい人もいると思いますが、多くの人は「果物」が気になると思います。そこで、「なんの果物ですか?」と確認するのではないでしょうか。仮に、果物はイチゴ、リンゴ、ブドウを使っていますと回答を受けたら多くの人は高いパフェだなと思うと思います。
この一方で、果物はあまおう(高級イチゴ)、サンふじ(高級リンゴ)、シャインマスカット(高級ブドウ)を贅沢に使っていますと説明を受けたらどうでしょうか。あまおう、サンふじ、シャインマスカットの希少性や高級性を知っている人は5,500円税込でも食べたいと思うのではないでしょうか。
つまり、必要条件で提示されていた果物のパフェに対して、十分条件であるイチゴ、リンゴ、ブドウが確認され、人がお金を払うためにはこの十分条件がある人がお金を払える十分条件を満たす必要があるのです。
このケースの場合、あまおう、サンふじ、シャインマスカットの希少性や高級性を知っている人にとっては5,500円の果物のパフェはあまおう、サンふじ、シャインマスカットのそれぞれの情報が必要十分条件(必要条件と十分条件が一致する条件)となり、お金になる価値を形成するのです。
正確には価値は情報の形、量、質から形成されるので、果物のパフェの価値をお金に変える手法は #価値経済工学 により数多く導き出すことができますが、ここでは #価値経済工学 におけるお金になる価値の必要条件と十分条件での解説に止めたいと思います。
ある情報(価値)の必要条件と十分条件が存在する場合、人は必要条件で話をする傾向がありますが、専門家は十分条件で話をする傾向があります。
この必要条件の情報と十分条件の情報には情報キャップが存在するのですが、通常のコミュニケーションにおいてこの情報キャップはあまり重要視されませんが、マーケティングやブランディングをコンサルティングする専門家はこの情報ギャップを可視化するためにアンケートや主成分分析、デザインシンキング(デザイン思考)、近年ではAI技術などを用いて科学的、もしくは論理的に隠れた情報を抽出し、ある価値を開発することに役立てます。
どのような手法を用いても全ての人に確実に購入してもらえる商品やサービスを開発することはできません。重要なのはある情報を既に知っている人に対してその人の価値観に適合する価値を提案し、その価値を構成している情報体にお金を払っても良い必要十分条件が含まれていることです。
逆に言えば、ある情報を既に知っている人がお金を払ってでも購入する十分条件で価値(商品やサービス)を作り、より多くの人に伝えられる必要条件で価値(商品やサービス)を説明(広告)することができるとお金になりやすい価値(商品やサービス)を作ることができます。
#価値経済工学 ではこのプロセスをVD(Value Development)シートとVtoM (Value to Meney)チャートを作成することで誰でも価値の必要条件と十分条件を分析できるようになり、お金になる価値(情報)を作ることができます。
但し、VDシートとVtoMチャートの作成には普段使わない思考を駆使したり、普段は考えないような当たり前のことを整理できたりする必要があります。
最初はとても苦戦しますが、一定のトレーニングと正しい手順と手法を身に着けると今まで気が付かなった価値が分かるようになり、お金になっていなかった価値をお金に変えることができる気付きが身に付きます。
最後に、お金になる価値(商品やサービスの情報)を作るためにはお金を払う人達の価値観が一致する情報を抽出し、抽出された情報を商品やサービスの十分条件として説明(広告)するのが効果的で、同じ商品やサービスを説明したり広告したりする際に #価値経済工学 を用いた情報の抽出と組立を行うことでお金になる価値を作ることができるようになります。
この手法の背景には行動経済学や心理学などで研究されているフレーミング効果(Framing Effect)が隠れていますが、 #価値経済工学 では #行動経済学 や金融工学の理論を実用的に応用することで、ビジネスで利用できる実用的なビジネスツールを研究開発しています。
論理学と数学において、必要性と十分性を計ることがありますが、私たちのコミュニケーションの多くは必要条件で成立している一方で、お金になる価値は十分条件を満たす必要があるのです。
Ver. 231018002
著者 並木幸久

「 #価値 」は多くの意味を包含し、とても便利な言葉です。
ビジネスの会議や打合せにおいて「 #価値 」と言う言葉を使わずに話をするのはとても難しいことです。 #価値経済工学 ではこの「 #価値 」が包含している意味(情報)を分析することでお金になる #価値 を抽出します。
VD(Value Development)メッソドはお金になる #価値 を分析する手法で、既存の #企業価値 から潜在的な #企業価値 を分析し、更に潜在的な #価値 から #お金になる価値 を抽出するための #メッソド (手法論)です。
#VDメソッド の背景には心理学モデルで用いられるジョハリの窓を応用することで、企業の #既存価値 を4つのカテゴリーに分類し、そこから #潜在価値 を抽出します。
ジョハリの窓モデルでは、開放の窓、秘密の窓、盲点の窓、未知の窓を自己の対人関係において分析する手法で、1955年にサンフランシスコ州立大学の心理学者であるハリ・インガム(Harry Ingham)とジョセフ・ルフト(Joseph Luft)が発表したグラフモデル理論です。
この2人の発案者の名前から「ジョハリの窓」理論と呼ばれるようになり、その使い勝手の良さから臨床現場からビジネスまで幅広く運用・応用されています。
#価値経済工学 では自社の #価値 を分析するために、自社の価値観、自分の価値観、他社の価値観、社外の価値観を社員から抽出することで、自社の #価値 が包含している意味(情報)を分析します。
ここで重要なのは、「 #価値 」は「価値観」の複数形で構成されると定義する考え方です。
ここでは詳細な解説は省略しますが、 #価値 の意味には、複数の価値観の寄せ集めの総称として使われる場合と複数人の価値観が一致している意味として使われる場合に大別できます。
#お金になる価値 の分析においては後者の #価値 を抽出する必要があります。
私たちがある #価値 を評価する際に、「これは #価値 がある!」と述べて、相手方も「それは #価値 がある!」と述べた場合、この2人が意味する #価値 の意味にはズレが生じている可能性があるのです。
少し専門的な解説を加えると、ある #価値 を人が評価する際に、人はその #価値 を必要条件として示唆します。
その一方で、その #価値 の十分条件を確認することはしません。例えば、ビジネスの打合せにおいて、Aさんが、あの会社を買収する #価値 があると提案する場合、Bさん、Cさんもその通り!と述べるかも知れません。
ところが、Aさんは対象となる会社の売上規模に対して#価値 (価値観)を述べたにも関わらず、Bさんは対象となる会社のブランドに対して#価値 (価値観)を感じ、Cさんは対象となる会社の経営者に #価値 (価値観)を感じているのかも知れません。
つまり、 #価値 はある会社を評価する必要条件であり、その会社の十分条件は売上規模、ブランド、経営者となり、 #価値 を評価している当事者3名はそれぞれ異なる #価値 (価値観)を意味しているのです。
参考:「 #お金になる価値 の必要条件と十分条件」の解説を参照して下さい。 #価値経済工学 ではこの #価値 と価値観のズレを可視化する為に自社の #既存価値 を、社員全員が分かる #価値 (価値観)、自分だけが分かる #価値 (価値観)、自分だけが知らない #価値 (価値観)、誰も知らない #価値 (価値観)に4分類することで複数人の社員から #価値 の素になる情報(十分条件)を抽出するマトリックスシート( #VDシート )を作成します。
この内、全員が分かる #価値 から企業の #経済価値 (情報)と #社会価値 (情報)を分析し、 #経済価値 を構成している情報からお金になる情報を設計し、 #社会価値 を構成している情報からは人・企業・社会に必要とされる情報を設計することに利活用します。
#VDシート では #価値 の素になる情報を価値化する為に、企業の #経済価値 、社会価値、自分だけが気が付いている価値、自分以外が気づいている価値、可能性、課題の解決法についてそれぞれ社員から情報を抽出することで #企業価値 の素になる情報を可視化し、この可視化された情報の形、量、質を設計することで #お金になる価値 の開発に役立てて行きます。
この #お金になる価値 の開発にはVM(Value to Money)メソッドを用いることで効率的に #お金になる価値 の開発を行うことができます。
#VMメソッド の解説は別途行いますが、 #VDメソッド と #VMメソッド を用いることで企業の潜在的な #価値 を顕在化させて、企業の潜在的な #価値 を収益化(お金)することに役立てることができます。
#VDメッソド も #VMメソッド もシンプルな手法ですが、各メソッドを習得するためには普段余り使わない脳を駆使する必要があるので、簡単すぎてとても難しい壁があります。
良い点として、 #VDメッソド や #VMメソッド の習得には一切の専門知識は必要ないので、中学生程度の一般教養があれば利用することができます。
この一方で、難しい点として、普段余り意識しない考え方や情報の理解方法を習得する必要があるので、これらに対応できる意識と発想の転換と改善には一定の時間が必要で、最低でも3カ月程度、一般的には6カ月程度の時間が #VDメソッド と #VMメソッド の習得には必要となります。
ある種筋トレやマラソンと似ていますが、人間の脳はビジネスコミュニケーションにおいて必要条件(広義な言葉)で話をする傾向がありますが、 #お金になる価値 の開発には十分条件(狭義な言葉)を分析できるようになるナチュラルセンス(自然な感覚)の開発が必要となるのです。
Ver. 231116001
著者 並木幸久
<関連コンテンツ>
お金になる価値の素
http://wiph.co.jp/wp/vee/element/
お金になる価値の必要条件と十分条件
http://wiph.co.jp/wp/vee/necessary_and_sufficient/

5名でA・B・Cの情報を集めたら、先ずは各自が抽出したAの情報についてその情報が事実であるか非事実であるか分類(鑑定)を行います。
事実であれば一般的にその情報は変わらない情報で1つしか該当する意味がないはずです。
例えば、会社の本社が東京の港区にあるとする情報が抽出された場合、この情報は事実に分類されますが、会社の登記簿謄本に大阪市北区と記載されている場合、この情報は間違いとなります。
但し、会社の本社が大阪の北区から東京の港区に移転しているものの、会社の登記簿謄本がまだ変更されていない場合もあるので情報の鑑定には注意が必要です。
会社のホームページにはその会社の本社が東京都港区にあると掲載されていても、その会社の法的な本社は大阪の北区のままなのかも知れないのです。
また、会社の本社が東京の一等地にあるとする情報が抽出された場合、この情報は事実ではないかも知れません。東京の一等地は個人の主観であるため人によっては一等地と思われないかも知れないのです。
つまり、情報が本当にもなるし、嘘にもなりえるので、該当する意味が1つとは限らないのです。
このようにAに抽出された情報を事実と非事実に分類し、非事実の情報に関しては事実になる情報を分析し、同時にどのような条件下では情報の質が変化するのかも分析します。
つまり、東京の一等地がどのような条件下では成立しないのか、または、どのような人達には一等地と思われて、どのような人達には思われないのかも分析します。
この際に、 #価値経済工学 では東京の一等地の十分条件と必要条件も合わせて分析し、5名が価値として共有できる必要条件を満たす情報も明らかにします。
(参考: #お金になる価値 の必要条件と十分条件)例として、東京の一等地の十分条件を満たす情報として銀座、青山、広尾などが上げられるかも知れません、また、必要条件としては好立地、地価が高い、高級住宅街などが該当するかも知れません。
私たちが他の人とコミュニケーションする場合、相手に意味が通じると思っている必要条件な言葉で話をする傾向がありますが、ビジネスや説明においては十分条件な言葉を用いることでミスコミュニケーションを回避することができます。
つまり、人は無意識の状況下では必要条件でコミュニケーションすることを好む一方で、意識的な説明を行う場合は十分条件でコミュニケーションすることで効率的なコミュニケーションを作ることができるのです。
#VDメソッド において、Aのマスからは事実の情報もしくは必要十分条件を満たす情報を明らかにし、必要十分条件を満たせない情報を公開する場合、企業として情報の形、量、質によって情報が本当にも嘘にもなる性質を理解した上で、公開する情報を設計することが奨励されます。
ある情報の必要条件と十分条件が同じになる場合、その情報の質のばらつき(分散)が少ないのでその情報が人によって本当になったり、嘘になったりすることが少なくなり、安定した情報を公開することができるようになります。安定した情報とは情報の質のばらつきが少なくて人の価値観としてその情報の必要条件と十分条件が同じと思える情報で、ここでは5名の同僚が合意できる必要十分条件を満たせる情報(言葉)を考察することになります。
この必要十分条件な情報を考察する過程において、会社の公開情報にも関わらず気が付いていなかった情報が抽出されることがあります。
このような場合、抽出された情報をDのマスに追記します。 続いてCのマスには自分は知っているもしくは気付いているが社外の人は知らないと思われる情報を書き出します。
余談ですが、 #価値経済工学 講座ではこのプロセスを行う前に、自分は知っているもしくは気付いているが社内の別の人は知らないと思われる情報を書き出すことで同僚の価値観のズレを確認する実験を行います。
同じ会社にいる同僚でも社内の情報への価値観のばらつきは意外と大きいのですが、多くの場合、対象とする情報の解釈の違いや認識の違いで整理されることが多く、同じ情報でも社員の地位や役割により情報の形、量、質に対する意識と認識が変わるのです。
この現象は、フレーミング効果(Framing Effect)とも呼ばれており、同じ意味を持つ情報でも、焦点の当て方によって、人はまったく別の意思決定を行ってしまう人の認知・心理現象で、 情報のどこにフレームを当てはめるかによって、異なる意思決定が導かれるのです。
フレーミング効果のメカニズムはノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)先生と心理学者のエイモス・トヴェルスキー(Amos Tversky)先生により理論化され、1981年に学術誌のサイエンスに発表されました。その後、実験的に経済現象を研究する手法を確立したバーノン・スミス(Vernon L. Smith)先生とダニエル・カーネマン先生は行動経済学の基本理論ともなるプロスペクト理論(Prospect Theory)を確立し、2002年にダニエル・カーネマン先生とバーノン・スミス先生はこの功績によりノーベル経済学賞を受賞しました。プロスペクト理論ではフレーミング効果について人間の価値の感じ方には偏りがあり、利益が出ている時は確実性を好み、損失を避けるが、損失が出ている時は、リスクを負ってでも利益を求めると解説しています。
つまり、ある人が置かれている状況が異なると人の判断や行動が異なるのです。
つまり、同じ情報でも同じ会社にいる社員の地位や役割によってある情報への意識と認識が変わっても不思議ではないのです。 本題に戻りますが、Cのマスには自分は知っているもしくは気付いているが社外の人は知らないと思われる情報を書き出します。
ここで大切なのは自社の価値として重要だと思う情報を3つ程度簡単な文章で書き出します。
繰返しになりますが、価値は価値観の複数形なので、自分以外の第三者からも価値があると思う情報であって、特に、社外の第三者からも価値があると思われる情報を考察して書き出す必要があります。
ここでのポイントは会社の機密情報はCのマスの情報に不適切で、Cのマスの情報は社外の第三者が知りえた場合にも価値があると思われる情報であるものを抽出します。つまり、社内において、自分は把握しているものの、まだ、その価値が社外の第三者に認識もしくは理解されていない情報で、会社の潜在的な価値のヒントになるのです。
何らかの理由により既に社外の第三者に知られていることもあり得ますが、社外の第三者がまだ把握はしていないのであればその情報を適切に具体化することで #お金になる価値 に開発することができる情報になるのです。
Cのマスの情報はBのマスで集めるヒアリングを実施する前に書き出しておき、Bのマスの情報を集める際に合わせてCのマスの情報についても確認すると効率良く #VDメソッド を運用できます。
Bのマスの情報は、自分は気付いていないけど企業外の第三者は知っている価値観のマスです。つまり、このマスの情報を得るためには社外の第三者に対して、その人が考える自社の価値についてヒアリングする必要がありますが、WEB等を用いてアンケートとして情報を集めることもできます。
Bのマスの情報を得る場合にヒアリングする相手方との関係や自分の会社に対する理解度や意識において得られる情報の質は異なりますが、このマスの情報を取集するポイントは自分から相手方に情報や自社に関するバイアスを与えないことです。
相手方に何らかの偏見や意識を促してしまうと本来得るべき質とは異なった情報を得てしまうことになるので注意が必要です。相手方が全く見当違いな価値や嘘かも知れない情報を述べてくるかも知れませんが、相手方が価値と思う自社の情報を3つ程度ヒアリングし、なるべく相手方が述べたままの言葉を文章にするのが重要です。
相手方が述べた言葉を要約したりメモにすることで本来の情報の量が変化してしまい、重要な情報が損なわれたり、編曲してしまうリスクがあるからです。Bのマスに関わる情報をヒアリングした後に、自分がCのマスに抽出した価値について相手方に確認し、各価値について相手方の意見をヒアリングして、ここでもなるべく相手方が述べたままの言葉を文章にして記録するのが重要です。相手方に同意してもらえるならばボイスレコーダーを用いて相手方の意見を記録しておくのはとても効果的です。
Bのマスの情報を収集したら、Aのマスの情報と同様に、社外の第三者からヒアリングした情報についてその情報が事実であるか非事実であるか分類(鑑定)を行います。
まず、事実で公開されている情報であればその情報が第三者によってどのように説明されていたのか分析します。
人はある情報を第三者に説明する際に自分の理解に基づいて、また、その人の言葉で話をします。使い勝手の良い言葉があればその言葉に集約されてしまうことが多いものの、どのような言葉で自社の公開情報が説明されたのかにより自社が公開している情報の必要条件と十分条件を把握することができます。
一般的に得られた情報が必要条件として説明された場合、自社が公開している情報よりも広義な意味で情報が第三者に解釈されている可能性があり、また、自社の価値がその必要条件で説明できるならば、自社がまだ気付いていない価値が隠れている可能性があるのです。
この情報はDのマスの情報で、自社で把握できていないかった価値につながる情報が分析できたらDのマスにその情報を書き加えます。
更に、ある情報が必要条件で流通している場合、正しい情報が婉曲して第三者に伝わる原因にもなるので正確な情報を十分条件で社会に伝えることで嘘の情報が社会に流布してしまうのを抑えることができます。
他方で、社外の第三者から自社の情報が十分条件として説明された場合、その情報は自社の価値における必要十分条件を満たしている情報の可能性があり、会社が社外の第三者に自社を説明したり会社のホームページや会社概要などに利用したりすることで第三者と自社の価値を共有しやすい情報の候補になります。
続いて、第三者からヒアリングした情報が事実で公開されていない情報の場合、会社の情報が公開情報以外で流通している可能性と偶然第三者にその情報が連想された可能性があります。
前者の場合、社員によるSNSの情報発信や風説、または情報の漏洩による原因などが考えられますが、 #価値経済工学 において重要なポイントとして、第三者にはその情報が会社の価値と理解された現象です。
偶然第三者にある情報が連想された可能性と合わせて会社の価値になりやすい潜在的な情報である可能性があります。
このタイプの情報が分析できたらこの情報の必要条件になる情報と十分条件になる情報を分析し、得られた言葉をDのマスに追記します。
余談ですが、人は自分の知識や経験に基づいて人やニュース等から得る情報に対して理解と価値観を作ります。
第三者から得る情報が必要条件であればその理解と価値観にはばらつきが生じやすくなり、十分条件な情報であればばらつきが小さくなりますが、人は理解と価値観を作る際に自分の知識や経験から得た情報を関連付けることで評価することで、不足している情報に対して空想したり連想したりしながら理解を補います。
この理解の補完的なプロセスにおいて情報の正確性が変化することがあり、ある情報が社会で流通しながら広まる過程において、ある情報が様々な情報(意味)に変容され、その結果として異なる価値観が作られる要因の1つとなるのです。
Bのマスのヒアリングにおいて、社外の第三者から非事実にも関わらず公開されている情報を聞いた場合、会社が公開している情報に間違いがある可能性があります。
この情報を得た場合、会社が公開している情報を確認して適切な情報に修正し、公開していた情報に誤りがあったことを可能な範囲で公開・広告したり関係者に丁寧に説明したりする必要があります。
情報の公開や配信において情報の間違いは付きものです。間違った情報を公開したり配信したりしないように情報の管理や検収は重要ですが、この管理や検収には労力やコストが生じるので会社として工夫することが求められます。
最後に、社外の第三者から非事実で公開もされていない情報を聞いた場合、会社はこの情報の出元とその情報の信憑性を確認する必要があるかも知れません。
その一方で、ヒアリングを行った第三者の思い込みや何らかの情報により連想された会社の価値かも知れません。
このような情報がヒアリングされた場合、なるべく正確にどのような経緯で情報を得たのか、また、どのようにそのような会社の価値観に思い至ったのかをヒアリングします。
特に、会社の価値観に至る経緯を確認できた場合にはDのマスにその情報を追記し、その情報の必要条件と十分条件を深層分析します。
#価値経済工学 において、全ての人はある価値に対して同じ価値観と異なる価値観を持っていて、その価値観は常に変化していているものの、変化する情報と変化しない情報に分類して分析します。
変化しない情報とは事実の情報で、変化する情報は非事実の情報です。
この非事実の情報とは、本当にもなるし、嘘にもなりえる情報で、第三者から得る情報により影響を受けることで、情報の質(本当度と嘘度)が変化する性質を持っています。つまり、社外の第三者から得た情報にどの程度の事実が含まれていて、どの程度の非事実の情報が含まれているのかを鑑定しながらその情報の性質を分析する必要があるのです。この現象はゲームとして遊ばれることもあります。
グループを作り、人から人へ言葉(情報)を順に伝える伝達ゲームを行うと、不思議なことに情報が正確に伝わらないのです。
この正確に伝わらない様を楽しむのが伝言ゲームで、情報の不正確さが次第に増していく現象が知られています。
#価値経済工学 では、この情報の伝達により本来の情報(真の情報)が変化する現象を利活用することで会社の価値になる情報を分析し、会社の #お金になる価値 を作るための基本情報(情報ブロック)としてそれら情報の形、量、質を設計し、情報ブロックを用いて #お金になる価値 を効率的に開発するプロセスを進めます。
Dのマスの情報は、A・B・Cそれぞれのマスに情報を追記する過程おいて得た情報から連想される情報を書き加えることで得ることができます。書き加えられた情報には大別して必要条件として思い付くものと十分条件として思い付くものがあります。
一般的に人が専門知識を持っていている場合はその専門知識や関心のある情報に関連した十分条件な情報が連想され、専門知識を持っていない人からは連想されない貴重な情報となります。
また、傾向として #VDメソッド を行う同僚やヒアリングを行う人が精通している仕事、趣味、興味などによって関心のある情報を持っている場合も同様に通常では連想されることがない情報を得られることがあります。
会社の価値として自分も気付いていないし、社外の第三者も気付いていない情報を得ることは無理に思われがちですが、 #価値経済工学 ではA・B・Cのマスに追記される会社の価値に関わる情報を得ながらその情報から連想される価値になる情報を抽出することで、社内の人にも社外の人にもまだ気が付けていない価値の素を見つけ出すことができるのです。 #VDメソッド はとても簡単で単純な作業を行いますが、この単純な作業を方法論として確立したのが #VDメソッド です。
#VDメソッド を正しい手順で進めることで会社の潜在的な価値を顕在化することが可能で、会社は #VDメソッド により抽出された情報を会社の価値開発に役立てることができます。
設立されたばかりの会社や社員数が少ない組織ではVDメソッドが効果的に機能しないこともありますが、 #VDメソッド を用いることで会社の価値の素になる情報(源泉)を見える化することで第三者と共有したり、事業に利活用したりすることができます。会社の全ての情報を見える化することはできませんが、会社の価値になる情報を会社のKPI(Key Performance Indicator)として抽出し、効果的にこれらの情報を利活用するための手法が #VDメソッド です。
#価値経済工学 では情報をレゴのブロックに例えて説明することがあります。 #VDメソッド で抽出された情報はレゴの1つ1つのブロックに相当していて、ブロックを組立ててどのような構造体を作るのかは会社の戦略であり企業の価値になるのです。
分かりやすい構造体を作れば多くの人に理解され易くなり、複雑で見たこともない構造体を作ると人に理解され難いことになります。
#価値経済工学 では情報の形、量、質を設計できるようにすることで企業の目指す価値を効率的に開発できるようにすることを目的に研究開発が進められています。
Ver. 240115001
<関連コンテンツ>
#お金になる価値 の素
http://wiph.co.jp/wp/vee/element/
#お金になる価値 の必要条件と十分条件
http://wiph.co.jp/wp/vee/necessary_and_sufficient/
#お金になる価値 の見つけ方( #VDメソッド その1)
http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part1/

企業や私達の経済活動において確実に儲かることができればとても魅力的です。
この魅力はリスクを伴わないで収益(お金)を得られることで、欲を言えば、何もすることなくお金が勝手に増えて、好きなだけお金を毎日使うことができるようになればと憧れる人も多いことでしょう。ところがこのような現象が発生するためには条件が必要で、不十分な条件下においては欲を満たす贅沢ができないのです。
ここでのポイントは、この条件を見える化することができれば効果的にこれらの情報を利活用することができるようになるのです。
VD(Value Development)シートは企業価値の条件を見える化するために開発された手法で、経済価値、社会価値、潜在価値、課題を見える化したり、あるプロジェクトにおけるテーマ、ブランディング、事業戦略、販売戦略などを見える化させたりすることにも役立ちます。
この見える化は企業価値の源泉となる情報とその情報のベクトル(情報が向かっている方向(対象)とその対象への量(金額や数値))を抽出し、同時にその対象が得る情報の正体を抽出しながら分析することで条件となる情報を明らかにして行きます。
VDシートは一般的には明らかにすることが難しいプロダクト・マーケット・フィット(PMF: Product Market Fit)やプロブレム・ソリューション・フィット(PSF: Problem Solution Fit)を効果的に、また、効率的に分析することもできるので、高額なコンサルティングサービスやブランディングサービスに頼る必要はありません。
VDシートは価値経済工学で用いるVDメッソドを発展させることで、企業価値とその企業価値を左右する条件を見える化(KPI)するために開発された手法で、このVDシートの結果をVM(Value to Money)チャートを用いて深層分析することでお金になる企業価値(経済価値)を効率的に開発できるようになり、最終的には各条件とそのスカラ(大きさのみで表され、方向をもたない量)もしくはベクトル(方向(対象)とスカラ)で構成された格子チャートを組立てることで企業価値や事業価値の条件とその格付けを見える化させることができます。
格子チャートは2項モデルと3項モデルを組み合わせたモデルにすることで、視覚的・直感的に経済価値を評価・分析できるようにするものですが、VDシートの分析精度に応じてその予測精度や運用性能は異なるので、企業経営においては毎四半期おきに企業価値の条件を見える化したり、事業価値においては事業の継続期間に応じた見直しするタイミングを定めておいたりすることが奨励されます。
金融工学では資産のダイナミックス(現在と未来の証券価格やオプション価値等)を分析したり運用したりするために2項格子モデルや日本の数学者伊藤清先生が研究開発した確率過程の変換公式である伊藤過程(伊藤の定理)が用いられています。
価値経済工学では金融工学で研究開発されてきたこれらの推定モデルを企業価値や事業価値の評価に発展させる研究を続けていて、企業リスクや事業リスクを分析したり推定したりする手法としてブラック・ショールズモデルを用いた対数正規分布に応じた価値過程も研究しています。
会社経営や事業管理では経営や事業の見える化手法をKPI(Key Performance Indicator)と呼び、企業経営や事業管理において重要となる項目を選定してその四半期ごとの目標値を定めたりします。
例えば、毎四半期の売上金額の下限を1億円と定めたり、毎四半期における売上金額の増加率を5%に定めたりすることで、各四半期における営業目標が数字で明確化され、経営者に限らず社員全員でその数字を意識しながら業務を進めることができるようになるのです。
同様に多くの企業ではPDCAサイクル方式を導入して、毎四半期のKPIを達成するためにPlan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)のプロセスを循環させることで進捗の見える化や効率化に必要な情報を抽出する努力を行います。
KPI法やPDCA法はある種ビジネスの基本として多くの企業で利活用されていますが、KPIやPDCAをすることが仕事になってしまい、本来の目的である企業活動の意味が分からなくなってしまう傾向と課題があります。
企業の従業員はKPIを意識してPCDAすることに必死で、本来その企業が掲げている理念や企業価値がないがしろになり、企業内で何をしたら良いのか、また、何を本来するべきなのか分からなくなってしまい、ある種の企業版生活習慣病に至ってしまう企業も見受けられます。
この企業の生活習慣病を予防するためには企業の価値を見える化して、経営者と社員がその見える化された情報を意識した上で、KPI・PDCAすることです。
企業経営に限らず事業管理においても同じで、見えない管理や業務を毎日進めるのはとてもストレスで毎日デスクに座ってメールを確認すること以外に仕事に対しての質感が衰えて、その業務に関わる人達に重篤な病気を引き起す原因にもなり、企業が社員のメンタルストレスや健康に気を払う結果に至る要因の1つにも成り得ます。
企業が成長する上で収益を開発することはとても重要ですが、企業の経済価値は株価のように常に変化し続けます。この変化する経済価値を株式市場に上場されている株式の株価のように公開されている情報やデータから分析することは難しいので価値経済工学では企業価値や事業価値を構成している情報をVDシートのフォーマットを用いて価値の
①お金と同じ性質の分析、
②情報の機能性分析、
③潜在需要の分析を行うことでお金になる価値の性質を明らかにします。
VDシートの左端の列には価値の項目を書出し、その価値に対応する源泉とベクトルを3つ定義します。源泉とは、その価値を必要条件とした場合に十分条件を満たす情報(関連コラム:お金になる価値の必要条件と十分条件)で、ベクトルはその価値が向かう対象と定量的な量を意味します。例えば、表1を参考に、ウェルネス・ワインを新規事業として販売するとしましょう。
価値をウェルネス・ワインと定義して、その下に源泉とベクトルを3つずつ書き出します。源泉とはウェルネス・ワインの十分条件に相当する情報(言葉)で、ワイン、有機葡萄、オーガニック、ビオディナミ、自然との調和、低アルコール、ストレス緩和、疲労回復、飲むマインドフルネスと言えばウェルネス・ワインと説明できる関係を持っています。源泉はウェルネス・ワインを構成している価値の要素になり、ウェルネス・ワインと言えば人にもよりますが、源泉に書き出した言葉のどれかもしくは一部または全部が連想されることを意識します。
次に、この源泉が向かう対象と定量的な量を定義します。
この例では源泉の向き(対象)は働いている女性で、定量的な量(スカラ)を定価3,000円/本と定義しています。つまり、ウェルネス・ワインを働いている女性に定価3,000円/本で販売することを定めます。
同様に、源泉②・③、ベクトル②・③、も定義することでウェルネス・ワインを構成する経済価値の源泉とベクトルを見える化することができます。
表1 VDシートの最初のコラム(列)

表1を作成したら、次に、表2の経済価値の分析を行います。
ここでは先ず抽出した源泉の寄与度を可視化させます。
ウェルネス・ワインの価値を構成する各源泉でその影響力(寄与度)が大きいと考えている順に上から源泉を並べて、その横に価値全体の寄与度を100%として、各源泉の個別の寄与度をカッコ内に%で評価して行きます。
ウェルネス・ワインにおいては源泉ワインの影響力が最も大きく、続いて源泉有機葡萄、ビオディナミ、飲むマインドフルネスが続き、源泉低アルコール、ストレス緩和に続いて源泉疲労回復と自然との調和が続く分析となりました。
この分析の答えは1つではなく、あくまでも分析を行っている人の価値観で経済価値分析表を組立てるのがポイントです。
次に、厚生労働省の発表(参考情報1)によると、令和3年(2021年)の日本国内女性の労働力人口は3,057 万人で、ウェルネス・ワインをベクトルで定めた働いている女性の1%に年間5本楽しんでもらうことを仮説として立てると3,057 万人×1%×5本=約152万本の販売計画が算出できます。
またベクトルで定めた定価3,000円/本から、ウェルネス・ワイン事業による売上が約45億6,000万円であることが見積もれます。
この売上額に対して各源泉の寄与度をかけることで各源泉に対応する経済価値を算出することができます。
表2 経済価値分析表

ここでは、この経済価値分析表を用いてVDシートで抽出したお金と同じ性質の分析方法を解説したいと思います。
表3にはお金と同じ性質の分析例をまとめてあります。
ここではお金と同じ性質の価値をベクトルの対象となる働いている女性に対して行います。
ウェルネス・ワインが提供できると思われる価値を「何かを計れる?」、「何かと交換できる?」、「何かを貯めることができるか?」の3つの機能に分けて分析を行います。
これは経済学や金融工学において、お金を3つの機能の集合体として定義されていて、この3つの機能とは、価値の尺度(計測)機能(Measurable Value: MV)、交換機能(Changeable Value: CV)、価値の保存(貯留)機能(Savable Value: SV)とされています。
この定義に基づいて、価値経済工学ではこのお金と同じ機能を対象としている価値を見出すことで人工的にお金と同じ機能集合に対応する価値を開発する作業を行います。
VDシートでは先ず表3に書き出したように、定義した経済価値(ウェルネス・ワイン)に対応する各機能(言葉)を3つずつ書出して、その書き出した各機能の十分条件となる情報(言葉)を正体として3つずつ以上抽出して行きます。
数学的な背景の解説は割愛しますが、各機能を3つずつ、また、各機能に対応している正体を3つずつ以上抽出することには重要な意味があります。
この背景に関しては別のコラムで解説したいと思います。
ここでは機能として書出した言葉とその正体が一致することもあるので、無理に十分条件になる言葉をひねり出す必要はありません。
抽出した言葉と正体が一致している場合、その言葉(情報)は必要十分条件を満たしている言葉(情報)と言います。
表3 お金と同じ性質の分析例

お金と同じ性質の分析における各機能となる言葉とその正体を抽出したら、各正体の集合に対応していると考えられる源泉を各正体の集合の下に追記して行きます。
この過程において、正体の集合に対応する源泉がない場合、おそらく抽出できていない源泉があることが示唆されます。
このような場合はその正体の集合に対応する源泉を追記することで源泉を補強します。
この例では、「健康」を新たに源泉の集合に加え、各源泉の寄与度を再計算しています。
表4 お金と同じ性質の分析シート

表4を作成したら、表2で定めた源泉の集合と各寄与度を更新して、以下表2-2を作成し、表4において各正体の集合に対応する各源泉に寄与度を追記して、各機能における正体の集合(十分条件となる言葉(情報))に対応している源泉の寄与度を足し合わせることで算出します。
同様の算数を全ての機能に対して行い、各機能の寄与度合計と寄与度率を算出します。
ここでは、寄与度合計の全ての合計が450%(80%+180%+190%)になるので、各寄与度合計を450%で割ることで各寄与度率の算出が行えます。
表2-2 源泉を更新した経済価値分析表

表5 お金と同じ性質の寄与度と寄与度率

表5の結果からウェルネス・ワインが働いている女性に提供できるお金と同じ性質の機能として、何かを計れる機能の価値(MV)が17.8%、何かと交換できる機能の価値(CV)が40.0%、何かを貯めることができる機能の価値(SV)が42.2%であることが見える化できました。
この分析をプロダクト・マーケット・フィット(PMF: Product Market Fit)に用いる場合、販売を計画しているウェルネス・ワインは働いている女性でお客様の価値として交換したり、貯めたりできる価値観に敏感な人達に効果的な価値を備えていて、お客様の価値を計ることができる価値観に敏感な人達には情報の機能が低いことが分析できます。
仮にお客様の価値を計ることができる価値観に敏感な働いている女性達にウェルネス・ワインを販売したい場合、現在の源泉に働いている女性が自分の価値を計ることができる新しい言葉・情報を加えることでウェルネス・ワインのマーケット・フィットを設計開発することが可能となり、商品を市場に提供する前にプロブレム・ソリューション・フィット(PSF: Problem Solution Fit)を効果的に分析しながら、市場に商品を上市した際に機能する情報を商品の価値に組み入れることが可能となります。
VDシートは企業や事業の経済価値を見える化させる1つの手法で、大規模なアンケートや市場調査を行わなくても企業や事業が包含している情報を分析することで企業価値や事業価値の設計開発に役立ちます。
このコラムでは数学的な背景の解説は割愛していますが、VDシートは数学的に経済価値を運用するための準備過程になります。
この一方で、VDシートで抽出した情報を効率的に経済価値にする手法としてVM(Value to Money)チャートがあります。
このVMチャートではVDシートの分析結果を用いてお金になりやすい価値を戦略的に開発するための手法で、何かを計れる機能の情報(MV)、何かと交換できる機能の情報(CV)、何かを貯めることができる機能の情報(SV)から必要条件となる情報を分析し、最終的にはお金になりやすい価値(情報体)を予測し、その予測された情報体(価値)をベクトルで定める市場に対して効率的にチューニングする為の情報の形、量、質をチャート化(見える化)させることで経営管理や事業管理に役立てることを目的にしています。
会社や事業の全ての情報を見える化することはできませんが、会社や事業の価値になる情報をKPI(Key Performance Indicator)として抽出し、効果的にこれらの情報を利活用するための手法がVDメソッドで、VDシートはVDメソッドを企業の戦略的な用途に合わせて発展させた手法として開発されました。価値経済工学では情報をレゴのブロックに例えて説明することがあります。VDメソッドやVDシートで抽出された情報はレゴの1つ1つのブロックに相当していて、ブロックを組立ててどのような構造体を作るのかは会社や事業の戦略であり企業や事業の価値になるのです。
分かりやすい構造体を作れば多くの人に理解され易くなり、複雑で見たこともない構造体を作ると人に理解され難いことになります。価値経済工学では情報の形、量、質を設計・調整できるようにすることで企業や事業の目指す価値を効率的に開発できるようにすることを目的に研究開発が進められています。
Ver. 2407010001
著者 並木 幸久
参考情報
1 働く女性の状況、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/21-01.pdf、2024/03/17
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お金になる価値の素 http://wiph.co.jp/wp/vee/element/
お金になる価値の必要条件と十分条件 http://wiph.co.jp/wp/vee/necessary_and_sufficient/
お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその1) http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part1/
お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその2) http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part2/
価値経済工学:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその2):価値の機能性分析 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/vds2/
事業や商材のお金になりやすさ、市場性、需要を可視化するためにVD(Value Development)シートが開発されました。
このシートは事業や商材の価値を構成する要素を科学的(数学的)に分析し、価値の対象となる市場とその規模を分析する事から始め、①お金と同じ性質の分析(参考コラム:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1):価値のお金と同じ機能分析)、②価値(情報)の機能性分析、③潜在需要の分析を行うことで体系的に事業戦略や販売戦略を誰でもまとめることができるようなります。
価値経済工学では誰でも科学的にビジネスを組立てられて、お金を稼げるようになるツールとその理論を研究開発することで、効率的に事業、戦略、投資、マーケティング、ブランディング、非財務情報の企業価値などの可視化や計画に利用してもらうことを目指しています。
ここからは、「お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1):価値のお金と同じ機能分析)」コラムを読んだことを前提として、価値(情報)の機能性分析方法を解説したいと思います。
表1には経済価値:ウェルネス・ワインについて価値(情報)の機能性分析を行った例をまとめてあります。この分析では、類似事業者、事業の名称、お金の請求方法に関して分析を行うことである経済価値がリアルな市場においてどのようのお金に変化しているのかその機能を分析します。
ここで、類似事業者に関しては、ウェルネス・ワインを販売しているもしくは類似している商品を販売している事業者を調査します。この例では(株)ABCワイン貿易とXYZウェルネスクラブ(株)がウェルネス・ワインと類似した商品を販売していることが確認きたので、「類似事業者はいるか?」の下のセルにこの2社を追記します。
次にこの類似事業者がどのような名称でウェルネス・ワインと類似する商品・事業を販売しているのかを確認し、その商品・事業の名称を「事業の名称は?」の下のセルに記載します。この例では、 癒しのワイン ウェルネス・ワイン ウェルネスクラブ:有機葡萄栽培とナチュラルワインの購入クラブ と言う名称で類似事業者がウェルネス・ワインと類似する商品・事業を販売していることが確認できました。
最後に、これら類似商品・事業がどのように販売されてお金が請求されているのかを確認し、「お金の請求方法は?」の下のセルに記入します。
この例では、 WEBからの購入によるサブスクリプション販売:月額4,980円で癒しの白ワインと赤ワインが届く WEBでの販売:送料別で3,000円から25,000円で販売 大手百貨店での小売り:税別5,000~30,000円で販売 会員制度による有機葡萄を用いたワイン製造・購入への投資:一口100万円で年間250本/口のナチュラルワインを得られて、販売委託も可能 と調査できました。

類似事業者の調査によりウェルネス・ワインと類似する価値が市場で取引されていることが確認できました。
調査の度合にもよりますが少なくとも2社がウェルネス・ワインに類似する価値をお金にできていることが仮定できます。
ここで仮定とするのはその類似事業者が実際にウェルネス・ワインに類似する商品・サービスから売上を上げているか分からないのでこの時点ではウェルネス・ワインに市場性があることが仮定できるに止まります。
次に、事業の名称の調査においてどのような言葉でウェルネス・ワインと類似する商品・サービスが販売されていて、お金にできているのかを考察します。
「癒しのワイン」は「癒し」と「ワイン」に分解できるので「癒しのワイン」をその集合とした場合に、十分条件として「癒し」と「ワイン」が包含されていて、癒しとワインを求めている消費者に対して情報の機能性がありそうです。
癒しを求めている消費者はお金を支払うことで癒しと交換でき、ワインを求めている消費者はお金を払うことでワインと交換でき、癒しとワインの両方を求めている消費者はお金を支払うことで2つの価値と交換することができそうですね。
「癒し」と「ワイン」のどちらか一方ではなく、その各価値の共通部分(積集合)に対応した価値観を持っている消費者には癒しのワインは分かりやい言葉ですが、この一方で、癒しではなく、ウェルネスを求めている消費者には必ずしも機能しない言葉かも知れません。
「癒し」と「ウェルネス」の言葉の意味を比較した場合、「癒し」と言えば「ウェルネス」、その逆に「ウェルネス」と言えば「癒し」と述べた場合、多くの消費者にはどちらの言い回しも意味は通じそうですが、後者の言い回しの方がより具体的な印象があります。
つまり、「癒し」の方が「ウェルネス」よりも具体的な言葉で、「ウェルネス」は「癒し」よりも抽象的な言葉であるため各言葉の十分条件となり得る言葉の濃度が異なるのです。
ここで重要なのは「ウェルネス」も「癒し」もその十分条件になる言葉は無限に存在しうるのですが、その十分条件になりうる言葉の濃度は「ウェルネス」の方が高い点です。
分かり難いので以下図1にこの関係をまとめてみました。
図1 「ウェルネス」と「癒し」の意味の集合関係

図1の関係はGoogleが無料提供しているAIサービスGeminiを利用(8月12日2024年)して、「ウェルネスに含まれる意味は?」と「癒しに含まれる意味は?」とそれぞれ質問して得た回答をまとめています。
この実験結果から「ウェルネス」の意味の方が抽象的でより多くの意味を包含していて、「癒し」の方がより具体的で限定された意味を包含していることが理解できます。
また、図2にはGeminiを利用して癒しの意味を深堀した結果をまとめてみました。
その結果として癒しの意味を深堀すると肉体的な癒し、精神的な癒し、心のやすらぎに大別でき、その効果として健康増進、集中力向上、人間関係の改善、創造力の向上が暗示され、その具体的な手段(癒し方)として自然との触れ合い、音楽鑑賞、読書、アロマテラピー、瞑想、ヨガ、温泉、スパが導き出されました。対照的に「ウェルネス」に関しては具体的な効果や手段は抽出されなかった一方でウェルネスと健康の違いとして、 健康: 病気ではない状態を指すことが多い。
ウェルネス: 健康に加えて、心身両面の幸福や充実した生活を指す。
との結果を得ました。また、なぜウェルネスが注目されているのかについては、「現代社会では、単に病気にならないだけでなく、より豊かで充実した人生を送りたいという人が増えています。
ウェルネスは、そうした人々のニーズに応える概念として注目されています。」と分析してくれました。
図2 「癒し」の意味を深堀した結果

Geminiを用いた実験結果から分析できることはインターネット上に存在する情報において、「ウェルネス」と「癒し」に関してその抽象性と具体性に関して異なる事、「癒し」に関してはより具体的な言葉につながる事が検証できました。
インターネット上に限らず、人と人のコミュニケーションやビジネスにおいても同じ意味合いで「ウェルネス」と「癒し」が使われていていることが想像(推察)できます。
ウェルネス・ワインの場合、「ウェルネス」と「癒し」の共通部分を満たす価値観を持っている消費者に対して「癒しのワイン」は機能しやすい言葉ですが、「ウェルネス」と「癒し」は全ての意味において対応する訳ではないので、共通していない部分の価値観を持っている消費者には機能しにくいことが分析できます。
つまり、癒しのワインはウェルネス・ワインと類似しているか価値を備えているものの、癒しのワインを購入する消費者に対して必ずしもウェルネス・ワインが購入されることはなさそうであることが整理できます。
続いてお金の請求方法に関して、癒しのワインは「WEBからの購入によるサブスクリプション販売:月額4,980円で癒しの白ワインと赤ワインが届く」ことでお金が取引されていることが分かりました。
ここで大切なのはこの事業者がなぜ癒しのワインをWEBによるサブスクリプション方式で販売しているか考察する必要があります。
ネットショッピングであれば消費者はほしい物を好きな時に検索し、オンラインで決済することで商品を購入し、購入したものは配送により消費者に届きます。
また白ワインを好む人もいれば赤ワインを好む人もいるはずですが、この事業者はあえて消費者の選択肢を無くし、癒しの白ワインと赤ワインのセットを定額で毎月配送する取引を採用しているのです。
この特異的な販売方法には先行事業者の経験とノウハウが反映されているはずなので癒しのワインの販売方法として単発でつどつど癒しのワインを販売するよりも継続的に毎月白と赤ワインを購入してもらう戦略に有意性がありそうです。
一般的なワインはWEBで単発販売されているのに、癒しのワインではなぜ単発販売されていないのか考察することでウェルネス・ワインの販売戦略とお金になりやすい売り方を開発しやすくなります。
次にウェルネス・ワインと同じ名称でウェルネス・ワインを販売している事業者がいます。この結果からウェルネス・ワインの名称には市場性があり、この名称自体が消費者に機能していてお金が取引されているようです。
そのお金の請求方法を調べると「WEBでの販売:送料別で3,000円から25,000円で販売」と「大手百貨店での小売り:税別5,000~30,000円で販売」の2通りの方法で販売されています。
つまり、WEBでも対面でも消費者がウェルネス・ワインにお金を支払うことが確認できて、更に、その価格帯が3,000円から30,000円であれば消費者はお金をウェルネス・ワインの対価として支払うことが整理できます。この結果から当初定価3,000円で販売を計画していたウェルネス・ワインの価格は先行事業者が販売しているウェルネス・ワインの価格帯では最も安い価格である事が確認できたので、販売する価格においては優位性がありそうです。
但し、ワインは品質やブランドでその価格が変わるので、安価なウェルネス・ワインが販売したい消費者に受け入れられるのか考察する必要もありそうです。
また、市場で同じ事業の名称を見つけた場合、その事業者が商標権を取得しているか確認する必要があります。
もしも他の事業者がウェルネス・ワインの商標権を取得しているのであればウェルネス・ワインの名称を変更する必要があるからです。
続いて、別の事業者が「ウェルネスクラブ:有機葡萄栽培とナチュラルワインの購入クラブ」の事業名称でウェルネス・ワインを販売しているようです。
この事業者は「会員制度による有機葡萄を用いたワイン製造・購入への投資:一口100万円税別で年間250本/口のナチュラルワインを得られて、販売委託も可能」とする投資により消費者より資金を集めて、集めた資金で大量のナチュラルワインを消費者に製造・販売する方式で、更にオプションとしてその製造されたワインの販売も委託できるようです。
100万円÷250本を計算するとワインの単価が4,000円/本であることが計算できます。
この価格は他の事業者がウェルネス・ワインを販売している価格帯において安い価格である事が分析できます。
この事業者と同じ販売方法を行うには金融庁の免許・許可・登録等が必要になりそうですが、この事業者はナチュラルワインの販売を投資と組合わせ、更に販売の代行まで行うことで投資家(消費者)にナチュラワインを単に購入する以上の付加価値、エンターテイメント性、期待経済を提案しています。
その一方でナチュラルワインの小売りも行っているようですが、その購入方法やお金の請求方法が不明である事が分かりました。
つまり、この事業者は製造されたナチュラルワインを小売り販売するのが事業の目的ではなく、ワインを販売できる別の事業者に販売を委託している可能性が推察できます。
ここまでの分析で重要なのはナチュラルワインとウェルネス・ワインの違いで、これは癒しのワインでも分析した観点と同じですが、癒しのワインを販売している事業者と同じようにワインを小売り販売していない点です。
つまり、ウェルネス・ワインやその類似する商品はその商品を単に小売り販売するよりもサブスクリプションや投資商品として販売する方が市場ではお金になりやすい性質があるのかも知れません。
以上では架空の類似事業者、事業名称、請求方法を用いて価値(情報)の機能性分析のVDシートの運用方法を解説してみました。
お金と同じ性質の分析のVDシートではウェルネス・ワイン(定義した経済価値)のお金になりやすさをシートにまとめながら分析しましたが、価値の機能性分析のVDシートではウェルネス・ワインの市場性をシートにまとめながら分析しました。
各VDシートの目的は効率よく事業戦略や販売戦略を組立てることで、パソコンの前に座ったものの何を企画書にまとめて良いのか分からなくなったり、無意味な検索をして時間を浪費したりする時間を無くして効率的に事業分析や戦略立案に必要な情報をまとめながら分析することができます。
VDシートの役割は必要な情報を可視化させながら基礎的な分析を行えることで、このVDシートの結果を効率的に運用するために開発されたのがVMチャートになります。各VMチャートに関しては別のコラムで解説したいと思います。
著者 並木 幸久
Ver. 240813001
<参考コラム>
お金になる価値の素 http://wiph.co.jp/wp/vee/element/
お金になる価値の必要条件と十分条件 http://wiph.co.jp/wp/vee/necessary_and_sufficient/
お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその1) http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part1/
お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその2) http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part2/
お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1):価値のお金と同じ機能分析 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/http-wiph-co-jp-wp-vee-vds_part1/
科学的に事業計画や投資計画、効率的なマーケティング戦略やブランディング開発を行うことはできないのか悩みながら研究を行い、数学や経済学を基本に効率的で効果的なメソッドを開発してきましたが、課題は理解や習得が難しいため、限られた専門家としか議論することができませんでした。この課題を解決するために、高校生程度の知識があれば科学的にビジネスでお金を作ることができるメソッドの研究開発を続けています。
まだまだ課題は山積していますが、工夫と改良を続けることで、時間(努力)対効果(成果)にできるメソッドを完成させ、改善することを続けて行きます。
近年では、非財務情報の企業価値評価や企業の価値評価などに利用されることが多く、お金になる価値開発以外の事例が増えています。
別のコラムでは非財務情報の企業価値を可視化させて、企業価値を評価する方法を解説したいと思います。 ここからは、「お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1):価値のお金と同じ機能分析」と「お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその2):価値の機能性分析」コラムを読んだことを前提として、価値(情報)の潜在需要分析方法を解説したいと思います。
表1には経済価値:ウェルネス・ワインについて価値(情報)の潜在需要分析を行った例をまとめてあります。この分析では、「お客様・利用者」、「利用しない人・企業」、「なぜ利用しないのか」に関して分析を行うことである経済価値が消費者に対する需要と潜在需要のメカニズムを分析します。
ここで、お客様・利用者に関しては、ウェルネス・ワインを購入すると思われるお客様の条件や企業を書き出します。
この例では、 働いている女性 ワインを飲みながら癒されたい人 リラクゼーションを楽しみたい人 ご褒美を求めている人 ハイエンドホテル を抽出しました。
「働いている女性」はこの分析の経済価値であるウェルネス・ワインのベクトル(販売対象)として定義しているお客様の層で、「ワインを飲みながら癒されたい人」、「リラクゼーションを楽しみたい人」、「ご褒美を求めいる人」、「ハイエンドホテル」は価値の潜在需要分析を進める過程で閃いた潜在的なお客様・利用者です。
当初は思い浮かばなかったものの、価値のお金と同じ機能分析や価値の機能性分析を経たことにより、ワインを飲みながら癒されたい人への需要が描けるようになりました。
ここでのポイントは単にワインを楽しむだけではなく、ワインを楽しみたい人達の集合と癒しを得たい人達の集合のどちらか一方の集合ではなく、両方の条件を満たせる共通集合(積集合)の関係にある人達がお客様になりそうだと導き出せたことです。
また、「リラクゼーションを楽しみたい人」に関してはウェルネス・ワインの価値を構成する要素(元:源泉 注:数学の集合論では元(げん)と言いますが、価値経済工学では源泉と言います。)である「飲むマインドフルネス」、「ストレス緩和」、「疲労回復」、「自然との調和」(表2参考)に関わる需要層で、単にワインを楽しむだけではなく、ワインを楽しみたい人達の集合とリラクゼーションを楽しみたい人達の集合のどちらか一方の集合ではなく、両方の条件を満たせる共通集合(積集合)の関係にある人達がお客様になりそうだと導き出せました。
表1 価値の需要分析シート例

表2 ウェルネス・ワインを構成する源泉(元:要素)分析表

「ご褒美を求めている人」に関してはウェルネス・ワインがただのワインではなく、ウェルネス・ワインを飲む人をイメージするとウェルネス・ワインを消費する人には特別な目的が浮かんできます。
この特別な目的を整理した結果、ウェルネス・ワインがご褒美として消費される可能性に気が付きました。
最後に、「ハイエンドホテル」に関しては特別な場所で洗練されているイメージがあります。日常的にハイエンドホテルに宿泊する人もいると思いますが、特別な場所で楽しめるワインとしてウェルネス・ワインは親和性があることに気が付くことができました。
その結果として、インターネットやワインショップ等の小売店で販売する以外に、ハイエンドホテルで特別な時間を過ごしたい宿泊客に需要があるかも知れない事が思い浮かびました。
次に、「利用しない人・企業?」として、ここでの例として、
を書き出すことができました。
「ワインの専門家やワイン自体を楽しみたい人」にはウェルネス・ワインは好まれない気がしています。
ソムリエの友人にも確認してみたのですが、飲んでみたいとは思わないとのことで、品質の良くないワインをウェルネスの付加価値で販売しているのではないのかと疑われてしまいました。
ワインの品質は決して悪くないのですが、ウェルネスの呼称がワイン自体の価値を歪めてしまうようです。ここでの気づきは「ウェルネス」と「ワイン」は相乗効果が期待できる言葉と思い込んでいたのですが、分析を重ねる過程において、ある層の人に対しては、ウェルネス・ワインは商品としてネガティブな印象を与えてしまうこともある事に気が付けました。 更に、「ウェルネスの意味が分からない人」や「ウェルネスに関心がない人」にはウェルネス・ワインの付加価値は機能しなさそうです。
そもそもネーミング自体がナンセンスに思われるかも知れませんし、ウェルネス・ワインへの期待そのものがない人達がいることにも気が付きました。
その一方で、ウェルネスの意味が分かり、関心がある人でも「アルコールを飲めない人」や「ワインが嫌いな人」には需要がなさそうです。ここでの気づきとして、ウェルネスを理解できる人でウェルネスが嫌いな人は少ないと思いますが、ワインが嫌いな人は確かに一定数いることを経験的に理解はしていたものの盲点になっていた点です。
その結果として、ウェルネス・ワインを販売するためには「ウェルネス」もしくは「ワイン」のどちらか一方が嫌いや苦手な人には受け入れてもらえないのは冷静に考えれば当たり前のことかも知れません。
最後に、医療施設に関しては、アルコール飲料であるワインはそもそも親和性が悪そうです。お薬を利用しいる人はアルコール飲料との飲み合わせや副作用を気にする必要があるのと医療施設でアルコールの摂取を勧めたり販売したりするのはイメージし難いですね。 残った分析は、「なぜ利用しないのか」についての分析です。
ここでの例では、
と分析できました。
この分析は前に行った「利用しない人・企業」と連動するものなので、分析や回答が重なることもありますが、先ず「ワインとしての品質が悪い印象があるから」と「ウェルネスとワインの関係が分からないから」については「ワインの専門家やワイン自体を楽しみたい人」にあてはまる理由で、「ウェルネス」と「ワイン」のポジティブな相乗効果だけに意識が傾き過ぎていて「ワイン」の専門家やワイン自体を楽しみたい人達にはある種不要または不明な言葉としてウェルネスがワインの価値を形成しているのです。
ワインを知っている人にとって、ボルドースタイルのワインであればブレンドワインで、ブルゴーニュスタイルは単品種ワインで、白ワインはシャルドネ種で赤ワインはピノノワール種から作られていることが連想できますが、ウェルネス・ワインと言われた場合に連想できるワインの特徴や特性がないのです。
この結果から、ウェルネス・ワインはワインではあるもののワインそのものの価値よりもウェルネスの付加価値に支配される傾向が理解できてきました。
次に、「ウェルネスとワインの関係が分からないから」、「ウェルネスの意味が分からないから」、「ウェルネスに関心がないから」に関してはウェルネスが阻害要因になっているようです。
ウェルネスは誰でも理解していると思い込んでいたのですが、ウェルネスを知らない人がいることやウェルネスが必ずしも付加価値にならないことが分析できました。
これらの気付きはウェルネス・ワインを販売する動機となったウェルネスが持っているポジティブな言葉の意味が必ずしも全ての人には機能しない事実で、ある一方向からウェルネス・ワインを分析している限りでは、ウェルネス・ワインの持っているネガティブな印象には気づくことはできないのです。
ウェルネス・ワインは良い商品だから誰にでも売れると思い込んでいた一方で、ある特定の条件を満たした人達には売れそうなワインであることが販売者の価値観としてアップデートされたのです。
「アルコールにアレルギーがあるから」、「アルコールが苦手だから」、「ワインが苦手だから」、「ブドウが苦手だから」、「ブドウにアレルギーがあるから」に関しては消費者の体質や趣向に関わるもので、アジア人の場合遺伝的にアルコールを飲むことができない人が一定数存在していて、特に日本人は他の人種よりもアルコールを体内で分解することができないもしくは分解能力が弱い人が多いことが知られています。
また、ブドウの中に含まれている特定のタンパク質に対してアレルギー反応を引き起こす人もいます。
アレルギーに気が付いていない人もいるのですが、ブドウ摂取後数分から数時間以内に皮膚に出現するかゆみを伴う赤斑や湿疹、じんましん、口や喉が痒くて腫れるような症状がでる人はアレルギー検査をすることをお勧めします。
ウェルネスは体質や趣向には影響がありませんが、ワインには体質や趣向に関わる需要の阻害要因があることが理解できました。
ある種当たり前のことですが、ワインが苦手な人達に対してウェルネス・ワインを販売するのは難しいことに気が付きました。
最後に「医療事故につながるリスクがあるから」に関してはワインを飲める人でもアルコールやブドウが摂取している薬と合わないことや副作用を引き起こすリスクが考えられます。
ワインが好きな人でもアルコールの摂取を控えることを医師や医療従事者から告げられているにも関わらず健康に良さそうだからウェルネス・ワインを飲んでしまうのは回避したい消費です。
ウェルネス・ワインはウェルネスを理解できる人からすれば健康にも病気にも良さそうな印象を与えてしまう負の側面があることが見えてきました。
薬機法にも抵触するリスクがあるので、消費者にはウェルネスの意味を薬効や治療と取り違えないように厳重に管理する必要がありそうです。
ウェルネスはポジティブな言葉だから必ずしも販売促進につながる訳ではなく、その言葉を取り違えた消費者に事故が生じた場合、ウェルネス・ワインの販売者は責任を問われる事態に至るかも知れません。
このようなリスクはウェルネス・ワインを製造販売する事業計画からは見えてきませんでしたが、価値の潜在需要分析を行う過程で明らかになりました。
ここまでの分析で重要なのは、ウェルネス・ワインをほしがりそうな消費者だけでなく、ウェルネス・ワインをほしくない消費者の目線でも分析を行うことで、異なる視点でウェルネス・ワインの可能性と問題点を可視化できたことです。
ウェルネスもワインも一定のファンがいる言葉ですが、全ての人に対して受け入れてもらえる言葉ではないのです。事業計画やマーケディング戦略を作る場合、時間と売上等のKPIできる数値が重要になりがちで商品やサービスが備えている見えていないポジティブな価値やネガティブな価値は考慮されないまま計画や戦略が描かれがちです。
価値経済工学ではある事業や商品/サービスが包含している価値の要素を可視化し、そのお金と同じ機能、機能性、潜在需要を分析することで見えていない価値を可視化するVDメソッド(参考コラム:お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその1):価値のお金と同じ機能分析、お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその2):価値の機能性分析)を運用しています。事業計画作りやマーケティングに長けている人からすればある種当たり前の分析かも知れませんが、VDシートを運用することで誰でもビジネスに必要な情報を機能的にステップバイステップで可視化させて整理することができるようになるのです。
以上では架空のお客様・利用者、利用しない人・企業、なぜ利用しないか(利用しない理由)を用いて価値(情報)の潜在需要分析のVDシートの運用方法を解説してみました。
お金と同じ性質分析のVDシートではウェルネス・ワイン(定義した経済価値)のお金になりやすさをシートにまとめながら分析し、価値の機能性分析のVDシートではウェルネス・ワインの市場性をシートにまとめながら分析し、価値の潜在需要分析のVDシートではウェルネス・ワインの潜在的な消費者の需要と課題をシートにまとめることで分析しました。
各VDシートの目的は効率よく事業戦略や販売戦略を組立てることで、パソコンの前に座ったものの何を企画書にまとめて良いのか分からなくなったり、無意味な検索をして時間を浪費したりする時間を無くして効率的に事業分析や戦略立案に必要な情報をまとめながら分析することができます。
VDシートの役割は必要な情報を可視化させながら基礎的な分析を行えることで、このVDシートの結果を効率的に運用するために開発されたのがVMチャートになります。各VMチャートに関しては別のコラムで解説したいと思います。
著者 並木 幸久
Ver. 250101001
<参考コラム>
お金になる価値の素 http://wiph.co.jp/wp/vee/element/
お金になる価値の必要条件と十分条件 http://wiph.co.jp/wp/vee/necessary_and_sufficient/
お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその1) http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part1/
お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその2) http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part2/
お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1):価値のお金と同じ機能分析 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/http-wiph-co-jp-wp-vee-vds_part1/
価値経済工学:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその2):価値の機能性分析 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/vds2/
お金を通貨や貨幣だと思い込んでいる人も多いと思いますが、貨幣は、商品やサービスの交換や流通を円滑にするための物体や媒介としての機能で、価値尺度、交換・流通手段、価値貯蔵手段などの機能を備えています。一方、通貨は流通する貨幣を意味し、貨幣の交換や流通の手段としての機能で、日本においては、現金通貨は紙幣と硬貨、預金通貨は普通預金や当座預金などの預金残高を合わせた広義で通貨と呼ばれています。ちなみに、日本の通貨単位は「円」で、紙幣は日本銀行が発行し、硬貨は日本政府が発行しています。このため日本の紙幣は日本銀行券とも呼ばれることがありますが、紙幣や硬貨だけがお金ではないのです。 近年電子マネーの普及も進み、紙幣や硬貨が利用される機会は減っていますが、多くの人はお金と言えば物理的な紙幣や硬貨を連想すると思いますが、ビットコインを始めとすると仮想通貨やポイント等を利用した決済サービスが生活に普及しています。お仕事をして、その対価を物理的な貨幣でもらう必要があるのでしょうか?近年電子マネーで給与を受取ることができる制度も始まり、物理的なお金の存在よりもデジタル通貨(電子マネー)の方がより一般化し始めているのかも知れません。つまり、お金は物理的な貨幣や硬貨である必要はないのです。お金の正体は機能で、交換できて、計測できて、貯めることができる機能の集合がお金です。言い方を変えると交換性、計測性、貯留性の3つが機能するものはお金と同じ機能を備えていることになります。実際、電子マネーや各種ポイントはこの3つの機能を満たしていて、消費者が商品やサービスを購入したり交換したりする際に電子マネーや各種ポイントの価値が購入したり交換したりしたい商品やサービスが備えている価値と交換されているのです。価値経済工学ではこの価値と価値の交換のメカニズムを集合論と確率論を用いて分析します。VDシート(参考コラム:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1):価値のお金と同じ機能分析)を用いることで、企業、事業、商品、サービスが備えているお金と同じ機能を分析しながらその価値を可視化させることが可能で、この可視化された情報をレゴのブロックのように運用することで効率的にお金になりやすい価値(企業、事業、商品、サービスなど)を開発します。この価値作りに利用するのがVMチャートでValue to Meneyチャートを意味しています。 このコラムでは、「お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1):価値のお金と同じ機能分析」コラムを読んだ事を前提としてVMチャートを解説したいと思いますが、VMチャートは3種類あります。価値のお金と同じ機能分析のVMチャート、価値の機能性分析のVMチャート、価値の潜在需要分析のVMチャートがあり、その運用方法は異なりますが、ここで解説する価値のお金と同じ機能分析のVMチャートは全てのVMチャートの基礎となります。「価値の機能性分析のVMチャート」と「価値の潜在需要分析のVMチャート」は別のコラムでそれぞれ解説します。 「お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1):価値のお金と同じ機能分析」コラムでは以下図1に示すウェルネス・ワインの経済価値分析表と図2に示すウェルネス・ワインのお金と同じ機能分析VDシートの結果が導かれるプロセス(過程)を解説しました。VMチャートではVDシートで分析された結果を用いてお金になりやすい価値を開発して行きます。価値のお金と同じ機能分析のVMチャートでは先ず図3に示すようにお金と同じ機能分析VDシートから得られた各機能と各正体をコピーしてVMチャートにペイストし、各正体に図3で示すように記号を付けて行きます。各機能には3つずつ以上の正体が分析されているので、各機能性に対して9つ以上の記号が正体に付けられていることを確認します。計測性(MV)であればMV1~MV9までの記号が付けられています。ここでのポイントは異なる機能性において同じ正体が分析されていても記号を同じにせずに異なる記号で管理します。例として、「癒し」は交換性と貯留性でそれぞれ分析されていますが、交換性の「癒し」はCV2、貯留性の「癒し」はSV1として記号を付けておきます。次に、計測性と交換性を兼備えた集合機能をMCV、交換性と貯留性を兼備えた集合機能をCSV、計測性と貯留性を兼備えた集合機能をMSVと定義し、各セルの下に各集合機能を3つずつ書出すように準備をします。

図1 ウェルネス・ワインの経済価値分析表

図2 ウェルネス・ワインのお金と同じ機能分析VDシート結果

図3 価値のお金と同じ機能分析のVMチャート例
価値のお金と同じ機能分析のVMチャートでは各集合機能を抽出して行きますが、ここでのコツは必ずしも言葉や文章で集合機能を定義するのではなく、各集合機能を識別するために言葉や文章を付加えることを意識します。MCVを抽出するために計測性(MV)と交換性(CV)に分析されている各正体を眺めながらグループとしてまとめることができる正体を考察し、同様にCSVでは交換性(CV)と貯留性(SV)の各正体を眺めながら考察し、MSVでは計測性(MV)と貯留性(SV)の各正体を眺めながら考察を行います。繰り返しですが、グループを適切な言葉や文章で定義できる必要はありません。自分の感覚で各異なる機能性に分析されている正体から1つずつ以上選択しすることで各集合機能を3つずつ以上定義します。 図4には各集合機能の抽出例をまとめてあります。MCV1ではMV1(ストレス感)とCV7(ストレス緩和)をグループとして定義し、「ストレス感」としてグループに名前を付けました。CSV1ではCV2(癒し)、CV7(ストレス緩和)、CV8(疲労回復)、SV1(癒し)、SV3(回復)をグループとして定義し、「ウェルビーイング」としてグループに名前を付け、MSV1ではMV7(健康度)、MV8(やすらぎ)、SV2(健康)、SV7(ウェルビーイング)をグループとして定義することで「健康状態」と名付けました。言葉や文章は何かを説明したり第三者と情報共有したりする場合にとても便利なのですが、その言葉のニュアンスや価値観は人により異なるので自分で定義した言葉や文章が第三者と同じニュアンスや価値観として共有されるとは限らないのです。価値経済工学では言葉や文章により生じる先入観を最小化しながらお金と同じ機能を開発することでお金と同じように別の価値と交換されやすい価値を正体(源泉)の集合として定義することを行います。

図4 集合機能の抽出例
各集合機能を3つずつ定義して何らかの言葉や文章でグループに名前を付けたら図5に示すように各定義した集合機能に対応する源泉をウェルネス・ワインの経済価値分析表で定義した源泉から割当てて行きます。MCV1(ストレス度)に対応する源泉は「飲むマインドフルネス」、「ストレス緩和」、「疲労回復」で、MCV2(疲労対策)に対応する源泉は「飲むマインドフルネス」、「低アルコール」、「自然との調和」と割当てることができましたが、MCV3(解放)に対応できる源泉がありませんでした。このような場合はこの集合機能に対応できる源泉を新たに追加します。この例では新たな源泉として「解放」を追記することでMCV3に対応させました。このプロセスはお金と同じ機能を分析する過程においてお金になりやすい機能を定義できる言葉や文章が経済価値として定義した言葉(源泉)に欠落していたものの、VMチャートを作成する過程においてお金になりやすい機能を備えた言葉を抽出し、可視化することができたのです。価値経済工学ではこの可視化技術をVDメソッドと名付けていて、考えても思いつくことができない重要な言葉を可視化させる手法で、「お金になる価値の見つけ方(VDメソッドその1)」コラムと「お金になる価値の見つけ方(VDメソッドその2)」で解説しています。各CSVと各MSVについてもMCVと同様に対応する源泉を書き加えながら欠落している源泉がないか考察を進めて行きます。全ての集合機能に対応する源泉を書き終えたら図1で作成した経済価値分析表に新たに見つけることができた源泉を追記します。ここでの例では「解放」を経済価値分析表に追加します。この際に各源泉の寄与度を見るのではなく、各源泉の言葉を眺めながら「解放」の位置を見積もります。この結果として、「解放」は「飲むマインドフルネス」よりも小さくて、「ストレス緩和」よりも大きい言葉であると定義することにし、全ての源泉の寄与度の合計を100%に保つために寄与度を下げられる源泉を考察します。この結果として「ビオディナミ」と「低アルコール」の寄与度をそれぞれを5%に減らして、「解放」の寄与度を10%とし、さらに「ビオディナミ」を「低アルコール」よりも同等以下、「疲労回復」よりも同等以上と定義することにしました。図6は以上の考察結果を反映することで更新したウェルネス・ワインの経済価値分析表になります。

図5 集合機能の源泉分析

図6 更新したウェルネス・ワインの経済価値分析表
各集合機能に対応する源泉を割当てたら図7に示すようにVMチャートをまとめて、各割当てた源泉に寄与度を追記し、各集合機能における源泉の寄与度を計算します。例として、MCV1の源泉寄与度は 飲むマインドフルネス(10%)+ストレス緩和(10%)+疲労回復(5%)=25% と計算し、寄与度を追記し、各集合機能についても同じように寄与度を計算します。全ての寄与度が計算できたら各集合機能単位での寄与度を計算します。例として、MCVは MCV1(25%)+MCV2(20%)+MCV3(10%)=55% と計算し、CSVとMSVについても同じように計算を行い、全ての各集合機能単位の寄与度を合計することで寄与度合計(55%+85%+85%=225%)を計算し、各集合機能単位の寄与度率も計算しておきます。寄与度率は集合機能単位の合計値を寄与度合計値で割ったものを%表示することで算出できます。 このウェルネス・ワインの例ではCSVとMSVの寄与度率がそれぞれ37.8%でMCVの24.4%よりも大きいことが分析できました。現時点で定義できているウェルネス・ワイン(経済価値)はお金と同じ機能において、交換性と貯留性の共通している機能(積集合:交換性∩貯留性)と計測性と貯留性の共通している機能(積集合:計測性∩貯留性)が計測性と交換性の共通している機能(積集合:計測性∩貯留性)よりも濃度が大きいことが分かりました。少し難しい解説になっていますが、数字に限らずある集合関係を分析する際に集合論では、ある集合の要素の個数に関わる概念を無限個の集合についても適用できるよう一般化する際に濃度を考察しますが、このコラムでは集合論と濃度の説明は割愛します。

図7 価値のお金と同じ機能分析のVMチャート例:集合機能分析
各集合機能の分析を終えたら3つの集合機能MCV、CSV、MSVの共通の集合機能であるMCSVの分析を行います。このMCSVは計測性・交換性・貯留性の機能を兼備えた各集合機能の共通集合で、計測性∩交換性∩貯留性=MCSVとも表記できます。補足の説明になりますが、VMチャートではウェルネス・ワイン(経済価値)の計測性(MV)、交換性(CV)、貯留性(SV)を分析し、その各機能(必要条件)の十分条件となる正体を分析しました。この各機能において分析された正体の集合に共通の集合がMCSVですが、あえて集合機能であるMCV(計測・交換性)、CSV(交換・貯留性)、MSV(計測・貯留性)をそれぞれ分析し、更にその集合機能の集合機能としてMCSVを分析する意図はお金と同じ機能の正体(言葉)を濃縮するためです。私たちはコミュニケーションにおいて様々な言葉を使い合わせることで相手方に自分の意図を伝えたり、その逆に相手方から様々な言葉で情報を受取ったりします。この情報のキャッチボールにおいて双方が必ずしも同じ理解や価値観を持つとは限らないのです。例えば、ハナコさんがウェルネス・ワインはとても良いですねとジローさんに伝えたとします、ジローさんはハナコさんにそうだね!と回答します。このような場合に、ハナコさんもジローさんも「ウェルネス・ワインが良い」とする情報には同意していますが、ハナコさんは実はウェルネス・ワインのウェルネス効果に対して良いと評価している一方で、ジローさんはウェルネス・ワインが比較的安価で美味しい点に関して良いと評価していたのです。つまり、両者は「ウェルネス・ワインが良い」と言う必要条件としての情報には同意できいるのですが、十分条件である「ウェルネス効果」や「比較的安価」としての情報では同意していないのです。つまり、二人のウェルネス・ワインに対する価値観は異なっているにも関わらず日常のコミュニケーションにおいて、二人の会話のように安易に価値を共有していることが多いのです。価値経済工学ではこのような課題を価値の要素となる情報を可視化させることで人の価値観のズレを調整できるようにします。この調整作業を行うために、あえて集合機能であるMCV(計測・交換性)、CSV(交換・貯留性)、MSV(計測・貯留性)をそれぞれ分析し、更にその集合機能の集合機能としてMCSVを分析する手順を行います。 図8にはウェルネス・ワイン(経済価値)とMCV(計測・交換性)、CSV(交換・貯留性)、MSV(計測・貯留性)、MCSV(お金と同じ機能)の関係をまとめてあります。言葉は日常のコミュニケーションにおいてとても便利ですが、言葉が包含している意味やその伝わり方は様々です。つまり、言葉だけでウェルネス・ワインの経済価値を評価したり、伝えたりしてもその本質的な経済価値を計ることはできないのです。価値経済工学ではこの言葉の問題を考慮した上でその言葉が含んでいる経済価値を解析したり取扱ったりすることができます。経済的に効果的な言葉の組み合わせを分析するために、図8ではMVチャートのプロセスで抽出されたMCV(計測・交換性)として「ストレス度」、「疲労対策」、「解放」を集合とし、CSV(交換・貯留性)として「ウェルビーイング」、「贅沢な時間」、「自分のリセット」を集合とし、MSV(計測・貯留性)として「健康状態」、「平穏」、「ウェルネス」を集合としてまとめています。MCSV(お金と同じ機能)を考察するために、各集合の言葉を眺めながら、各集合から1つずつ以上の言葉を集めることでまとめることができるグループを3つ以上考えて、そのグループの言葉を用いてウェルネス・ワインを説明する簡単な文章を書出します。図9にはMCSVを含んでいる言葉の組み合わせをまとめて、簡単な文章での説明も書き加えてあります。MCSV1はMCV3(解放)とCSV2(贅沢な時間)とMSV2(平穏)を1つのグループとし、MCSV2はMCV1(ストレス度)とCSV3(自分のリセット)とMCV2(疲労対策)とMSV1(健康状態)を1つのグループとして、MCSV3はMCV3(解放)とCSV2(贅沢な時間)とMSV3(ウェルネス)を1つのグループして、以下ように簡単な文章を作文してみました。 MCSV1:MCV3+CSV2+MSV2 ⇒平穏で贅沢な時間に開放されるウェルネス・ワイン MCSV2:MCV1+MCSV3+MCV2+MSV1 ⇒ストレスや疲労をリセットして健康になれるウェルネス・ワイン MCSV3:MCV3+CSV2+MSV3 ⇒ウェルネスな解放と贅沢な時間を楽しめるウェルネス・ワイン

図8 各集合機能とお金と同じ機能(各集合機能の共通集合)

図9 お金と同じ性質の価値例
このVMチャートの手順で抽出できた言葉と文章にはお金と同じ性質の機能を備えた言葉が濃縮されています。1人でVDシートとVMチャートのプロセスを進めた場合、その結果として得られ得た言葉と文章には自分の価値観がお金になりやすい言葉で整理された結果となり、複数人で各プロセスを進めた場合、その複数人の価値観において共通の価値観がお金になりやすい言葉で整理された結果となります。ウェルネス・ワインの例では、働いている女性に1本定価3,000円でウェルネ・ワインを販売することをベクトルに定めているので、VDシートとVMチャートを実施した人に働いている女性が含まれているのであれば1人でも複数人でもその結果として得られた言葉と文章はベクトルに対応した経済価値として機能しやすい性質が備わりますが、働いている女性でない人が実施した場合は結果として得られた言葉と文章には働いている女性に機能する経済価値として機能が不十分なことがあります。このような場合に有効な手法として「価値の機能性分析のVMチャート」と「価値の潜在需要分析のVMチャート」が利用できます。この可視化された経済価値の補正は商品やサービスのマーケティングやブランディングにも応用できるので、別のコラムで詳細を解説したいと思います。 VMチャートを運用することで、ウェルネス・ワインを市場に説明することでお金になりやすい言葉の組合せを可視化させることができました。まず、MCSV1は「平穏で贅沢な時間に開放されるウェルネス・ワイン」とウェルネス・ワインを説明しています。この説明は「平穏で贅沢な時間に開放される」の部分で、ウェルネス・ワインとして商品を市場に提供した場合、「ウェルネス・ワイン」のネーミングに対する価値観は人により異なりますが、ウェルネス・ワインを説明する言葉が備わることで価値観の違いにより生じる市場とのミスコミュニケーションを解消しながら、適切な消費者へ当社が提案する商品(ウェルネス・ワイン)を販売することができるのです。この販売者と消費者との間に生じるミスコミュニケーションは販売したい商品の販売を妨げるだけでなく、その商品の市場価値を毀損(きそん)することにも発展します。消費者が期待したものと商品にズレが生じることで消費者にはその商品は無駄な消費になり、損をした気持ちを抱かさせてしまいます。2002年ノーベル経済学受賞者のダニエル・カーネマン先生らの研究成果により、「損失による悲しみ」は「利得による喜び」の2倍以上であることが明らかにされました。つまり、ウェルネス・ワインを購入した消費者に無駄な消費をさせた気持ちを抱かせるのはマーケティング戦略においてもブランディング戦略においても得策ではありません。VMチャートにより抽出できた「平穏で贅沢な時間に開放される」はウェルネス・ワインのネーミングから「平穏で贅沢な時間に開放される」価値に対してお金を支払っても良いと考える消費者に対して有益な情報で、この価値の対価として消費者はお金をウェルネス・ワインに対して支払うことで「平穏で贅沢な時間に開放される」価値観を満たすのです。これはMCSV2における「ストレスや疲労をリセットして健康になれる」とMCSV3における「ウェルネスな解放と贅沢な時間を楽しめる」においても同じです。つまり、ウェルネス・ワインに対してお金を支払う対価にフィットする価値観を持っている消費者にウェルネス・ワインを効率的に販売できるのです。商品の販売計画においてその商品がどの程度マーケットにフィットするのか分析することをプロダクトマーケットフィット(PMF)と言いますが、実はこのPMFの考え方は重要なのですが具体的にPMFを実現する方法として有効な手法は確立されていません。この点におてい、価値経済工学ではこのPMFをVDシートとVMチャートを運用することで満たすことができます。VMチャートにより抽出できた言葉や文章は一見当たり前のように思えるかも知れませんが、ウェルネス・ワインを消費者に伝える言葉の組合せやその組み合わせから作ることができる文章はほぼ無限通り作れますが、価値経済工学ではその無限に近い組合せの中からお金になりやすい性質とPMFを満たした言葉の組合せを効率的に可視化させることができるのです。 VMチャートの運用によりある価値観を持っている消費者に対してPMFを作れる一方で、MCSVの分析において考えてもグループ化できていない言葉の組合せや文章は無数にあり得ます。この無数にある組合せの中には既に抽出できた言葉の組合せよりも効果的な組合せがあるかも知れません。この効果的な組合せを定性的に分析できる手法が源泉分析表で、図10にはウェルネス・ワインの源泉分析表を示しています。この表では集合機能として抽出した各MCV、CSV、MSVを構成している源泉を視覚的に分析するために、各集合機能に含まれている源泉に〇印を付けることで整理します。例として、MCV1には、「飲むマインドフルネス」、「ストレス緩和」、「疲労回復」が対応する源泉として含まれているので、源泉分析表におけるMCVの1のコラムでそれぞれの源泉に対応しているセルに〇印を付けて行きます。同様に全ての集合機能に対して対応している源泉のセルに〇印を付けることで各集合機能と源泉との関係を可視化しながら定性的に評価することが可能となります。どの源泉が他の源泉と比較してより多くの集合機能に対応しているのか、どの集合機能がより多くの源泉に対応しているのかなど考察に役立ちます。

図10 ウェルネス・ワインの源泉分析表
次に、図10で作成した源泉分析表を拡張して、各MCSVも加えることで図11に示すようにMCSVを含めた源泉分析表を作成します。ここでも各MCSVに対応している源泉に〇印を付けることで表を完成させ、全てのMCSVに〇印が付いている源泉と全く〇印が付いていない源泉に注目します。この例では、「健康」、「飲むマインドフルネス」、「自然との調和」が全てのMCSV(お金と同じ機能を備えている集合)の源泉として対応している事が分析できて、その一方で、「有機葡萄」はどのMCSVの源泉にも対応していないことが分析できました。この結果から、「健康」、「飲むマインドフルネス」、「自然との調和」の言葉は他の源泉(言葉)よりもより効率的に消費者に対してウェルネス・ワインの販売においてフィットしやすくて、消費者がウェルネス・ワインに対してお金を支払いやすい価値観に対応していることが分析できます。反対に、「有機葡萄」はウェルネス・ワインの販売において重要な要素だと考えていたのですが、どのMCSVにも集合機能(MCV、CSV、MSV)にも対応していなことが分かり、消費者へウェルネス・ワインを販売する点において「有機葡萄」はフィットしない言葉で、お金になり難い言葉であることが分析できました。VDシートとVMチャートのプロセスを経ながら考え出すことができた言葉の組合せが各MCSVですが、源泉分析表を作成することで考えてもひねり出すことができなかった効果的な言葉の組合せや不要な言葉を判定することができました。

図11 MCSVを含めた源泉分析表
MCSVを含めた源泉分析表から得た結果を経済価値分析表に反映するために、図12に示すように経済価値分析表を考察します。ここでは経済価値分析表から「有機葡萄」を削除し、その寄与度を「健康」、「飲むマインドフルネス」、「自然との調和」に振り分けることにし、図13に示すように経済価値分析表を更新しました。この結果の興味深い点として、ウェルネス・ワインを計画した段階において重要だと考えていた「有機葡萄」や「ビオディナミ」の要素はウェルネス・ワインを消費者へ効果的に販売する点においてはそれほど重要ではないことが価値経済工学の分析を進めながら気が付くことができて、「有機葡萄」はウェルネス・ワインの要素から削除して、「ビオディナミ」の要素は小さくすることでウェルネス・ワインがある価値観を持っている消費者に対してフィットしやすくて、お金になりやすい言葉の組合せであることが解析できたのです。図14には整理した源泉分析表を示してあります。VMチャートを用いてウェルネス・ワインを分析した結果としてお金によりなりやすい機能を備えている源泉を可視化して定性的にまとめることができました。

図12 源泉分析表の結果を反映した経済価値分析表

図13 源泉分析表の結果を反映した経済価値分析表

図14 整理した源泉分析表
価値のお金と同じ機能分析のVMチャートは価値のお金と同じ機能分析のVDシートから得られた結果を運用することでお金になりやすい言葉(源泉)の組合せを効率的に分析しながら特定の価値観を持っている消費者に対してフィットしやすい言葉の組合せや文章を作ることができます。一般的に、事業計画やマーケティング戦略を作る場合、ある商品が市場においてある程度フィットしていて、販売を目論んでいる消費者に対してそれなりにその商品が販売できることが暗黙の了解として仮定されていますが、販売する予定の商品やサービスがどのように消費者に伝わり、どのような価値観で消費者が商品やサービスに対してお金を支払うことでその対価である価値を得たいのか直接的に知る余地はありません。この課題に対してコストをかけて市場調査を行ったり、WEBやSNSなどを活用したり、アンケートを実施することで消費者の情報を把握したり需要を分析したりします。これの手法は統計学やベイズ推定技術を用いたりAIを利用したりすることである結果を得ることができますが、販売しようとする商品やサービスのコンセプトやそもそも消費者の価値観にフィットした価値が提供できるのかは仮説に基づきます。つまり、そもそもの仮説に間違いや消費者の価値観にフィットしない価値を調査したり分析したりしても無意味なのです。この根本的な消費者とのズレを補正できるのがVDシートとVMチャートです。VDシートでは商品やサービスの経済価値をレゴのブロックのように分解することで消費者にフィットする形に再編したり消費者がお金を支払ってでも交換したりしたい価値として情報を伝えることができるようになります。この機能する情報の組合せを価値経済工学では情報薬と呼んでいます。お薬のように人に効果をもたらす情報体で、VDシートとVMチャートはこのお薬を調合するためのツールの役割を果たしています。熱のある人の熱を下げるための解熱剤のように、ある価値観を持っている消費者に対して効果をもたらしやすい情報を分析して、その情報の効果的な組合せを見出すことができます。但し、これら調合された言葉は実際のお薬と同じように確実に全ての消費者に機能する訳ではなく、ある条件を満たしている消費者に機能しやすい特徴があります。この条件はTPO(タイミング、場所、場合)による消費者の価値観です。ある情報を持っている消費者には機能しやすい一方で、ある情報を持っていない消費者には機能しない性質もあります。これらは価値経済工学の基本定理でもある価値は価値観の複数形であるとする定義に起因します。価値観は各個人に固有ですが、価値はそれぞれの価値観が重なりあっている部分集合(Aさんの価値観∩Bさんの価値観=AさんとBさんの価値)で、2人の異なる価値観の要素で共通の部分が価値となり、この価値の内、お金を払ってでも交換したい価値が経済価値(価値⊇経済価値)になるのです。 図14にはウェルネス・ワインをVMチャートで解析した結果をまとめてあります。MCSV1、MCSV2、MCSV3はVMチャートを作っている個人もしくは人達が考察しながら抽出することができた情報薬ですが、「健康、飲むマインドフルネス、自然との調和と言えば」の組合せが情報薬としてある特定の消費者がお金を支払いやすい機能を備えていることは抽出できませんでした。源泉分析表を用いることでMCSV(お金と同じ機能の言葉の集合)として最も効率的な言葉の組合せであることが導き出せたのですが、この背景には人間の先入観が関わっています。MCSV1、MCSV2、MCSV3の組合せを考察した際には自分の知識や経験を踏まえてグループ化できる言葉を考察したはずですが、自分の知識や経験など自分の持っている情報を超越した組合せも存在するはずですが、人間は理解できない組合せに対して同じグループとして定義することに違和感が生まれ、また、そのグループの関係を説明することができないことが意識的なグループ化を妨げるのです。似たような実例として、人工知能(AI)のディープラーニング(深層学習)という技術において、大量のデータをAIに学習させて、データ間のつながりを効率的に見つけることで非常に精度の高い予測をすることができるのですが、どのようにAIがその答えを導き出したのかに関して未だ人間には理解できないのです。この課題に対して価値経済工学では1つの仮説として無限集合と有限集合の性質の差に答えがあり、位相空間の次元論(Euclidean n space: ユークリッドn空間)で説明できると考えています。別のコラムでこの可能性に関して議論してみたいと思います。

図15 経済価値になりやすい言葉の組合せ(情報薬)
価値のお金と同じ機能分析のVMチャートでは定義した経済価値を構成している要素を用いてお金になりやすい要素(源泉)の組合せを効率的に解析することができます。この解析手法は言葉がある価値観の要素により成立している集合として定義し、その集合の組合せにより価値の性質が変化し、その変化する性質を用いて価値の部分集合であるお金になる価値を人為的に開発する手続きを行います。価値観を構成している要素を全て可視化させることは不可能ですが、ある言葉が包含している情報(意味)やその言葉に対する個人の価値観の部分集合として価値観を集合論に基づいて演算したり、分析したりすることは可能です。つまり、ある価値を構成している情報の集合関係とある価値観を構成してる情報の集合関係とお金を機能の集合と定義することで、その機能の集合関係の要素になる言葉をそれぞれ分析しながらお金と同じ機能になる言葉の組合せを解析はするものの価値経済工学では価値観や価値を構成している全ての要素を可視化させたり抽出したりはしません。価値も価値観も日々変化する性質があるのである時点においてその要素を定義するよりもその価値や価値観の濃度がどのように変化するのか、また、どのような条件下において経済価値の確率濃度を高めることができるのかについて分析できることの方が一般社会やビジネスにおいては汎用性があるのです。ある会社の株価が現時点において明日いくらになるか把握できるよりもその株価が現時点からある時点において80%程度の確率で値上がりするための条件を把握できた方が実用的で、ビジネスを行う戦略の立案や事業を開発するために最適な投資方法や計画作りにも役立てることができます。現時点の情報は次の時点において更新されるので、現時点で得られた結果が未来のある時点において同じである保証はないのです。 著者 並木 幸久 Ver. 240909001 <参考コラム> お金になる価値の素 http://wiph.co.jp/wp/vee/element/ お金になる価値の必要条件と十分条件 http://wiph.co.jp/wp/vee/necessary_and_sufficient/ お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその1) http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part1/ お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその2) http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part2/ お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1) http://wiph.co.jp/wp/column-collection/http-wiph-co-jp-wp-vee-vds_part1/ 価値経済工学:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその2):価値の機能性分析 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/vds2/ 価値経済工学:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその3):価値の潜在需要分析 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/vds3/
「あれあれ」や「それそれ」などのように物やサービスに対して使われる言葉がまだ明確でない時期があり、やがてそれらの物やサービスには名称が備わり、私たちは自然にその名称を使うことで意思疎通を成立させることができます。正式な名称が既にある場合でも流通し難い名称だと市場で自然に俗語としての名称が広まったり、用途に適した名称が市場において標準化されたりすることもあります。商品等の緩衝材に利用されるプチプチの正式名称は気泡緩衝材と言いますが、日常生活において気泡緩衝材の名称を見ることも聞くことも少ないですね。実はプチプチと呼べるのは川上産業株式会社の気泡緩衝材だけで、他社は製品に対してプチプチとして販売することはできないのです。「プチプチ」は川上産業株式会社の登録商標なのです。つまり、気泡緩衝材はプチプチではなく、川上産業株式会社の気泡緩衝材がプチプチなのです。 日本人にはプチプチは気泡緩衝材を潰した時に生じる音のプチプチと重なることもあり、気泡緩衝材をプチプチと呼ぶことで商品の名称以上に名称に機能が備わっているのです。「あのプチプチ頂戴」と言われれば、多くの日本人は気泡緩衝材をイメージできると思いますが、川上産業株式会社を連想できる人は少ないと思います。また、プチプチはいくらと聞かれれば何となく安い価格はイメージできるもののその正確な価格を把握している人も少ないと思います。ここで重要なポイントは、多くの日本人がプチプチは商品として購入することができる物であることを知っていることです。つまり、プチプチは経済価値を備えている情報で、消費者はプチプチに対してお金を支払える先入観が市場に形成されているのです。試しにアマゾンでプチプチを検索してみると、「川上産業(Kawakami Sangyo) プチプチ 緩衝材 ダイエットプチ d36 幅1200mm×全長42m ナチュラル(半透明)」が1,991円税込(9月14日2024年、14:26時点)で購入できるようです。多くの日本人消費者にとってプチプチはお金で交換(購入)できる商品であることを知っている一方で、その商品の価格仕様を把握している人は少ないのではないでしょうか。実際、著者は検索して商品の検索結果は得たものの、1,991円税込が安いのか高いのか見当が付きません。このような場合、多くの消費者は類似商品の価格と比較することで自分が見つけた商品が安いのか高いのか把握しようとすると思います。著者も他の商品と比較することにし、検索結果に表示された他の商品を見比べながら、「酒井化学工業 【 日本製 】 酒井化学 #400SS 300mm×42m 緩衝材 ロール ミナパック 【 ポリエチレン製 エアキャップ 】 産業用 (業務用エアパック)」が1,388円税込(9月14日2024年、14:36時点)であるのを見つけました。ところが気泡緩衝材を購入することが少ない著者にはどちらの商品がお得なのか全く見当が付かないものの、以下表1に得られた情報をまとめて比較して見ることにしました。先ず価格において酒井化学工業の方が安いものの、大きさにおいては川上産業が4倍(1200mm÷300mm=4倍)大きいのです。つまり、川上産業の価格が酒井化学工業の製品の4倍未満ならば川上産業の製品の方がお得そうな気がします。1,991円÷1,388円を算数すると約1.4倍で、この算数からは川上産業の製品の方がはるかにお得な気がしています。ところが、各社が掲載している規格情報に関しては全く意味が分からない情報(消費者に機能しない情報)であるものの、各社の特徴に関して酒井化学工業は国産である点や製品の素材がポリエチレン製で、また、業務用の商品であるとしています。この一方で川上産業のナチュラル(半透明)は色合いを伝えているのは分かるのですが、「ダイエットプチ」の特徴は全く想像が付きません。つまり、著者には全く機能しない情報で、なんとなくプチプチが少ないのか?と若干ネガティブなイメージが浮かびながら価格が安い理由なのかな?と妄想し始めました。酒井化学工業の特徴に関しては、著者として日本製の付加価値に関心はあるものの、ポリエチレン製であることや業務用である付加価値には関心がないので、著者の消費判断には影響を与えない機能しない情報でした。以上の結果から著者は川上産業の製品がお得であると判断して川上産業の製品を購入することに至りましたが、本当に今回の消費判断が適正であるのかお得であるのかは分かりません。この一方で、著者が一消費者として川上産業の商品を購入するに至った経緯には情報の機能性が関係しているのです。
表1 アマゾンサイトにおける気泡緩衝材の検索結果比較
情報(言葉)には機能性が備わっていて、消費者は無意識にその機能により消費判断が左右されています。情報の持っているメカニズムを分析することで商品やサービスのマーケティング戦略やブランディング戦略にも応用することができます。表2には表1の酒井化学工業の代わりに、架空の環境思いやり工業の商品スペックを川上産業と比較するためにまとめてみました。ぱっと見で、両社の価格はほぼ同じで環境思いやり工業の価格が3円安いものの、価格差的にはあまり魅力的ではないですね。次に、規格を見比べると環境思いやり工業の製品は2023年に製造された製品で今年が2024年なので、1年ぐらい前に製造された製品であることから品質の劣化は大丈夫そうな気がします。大きさの点においては川上産業の4分の1の大きさで価格がほぼ同じなので、直感的には4倍高い気がします。ところが、特徴を見比べると製品は日本製で、植物性生分解性で、環境対策素材であることが分かりました。つまり、環境思いやり工業の商品は価格が4倍高い一方で、環境に配慮した製品であることが伝わってきました。生分解性ブラスチックは大別して微生物産生系、天然物系、化学合成系があり、植物性生分解性素材は植物由来の材料から作られるバイオマスプラスチックのことだと連想できます。一般的に、バイオマスプラスチックは植物由来の材料を使用するためカーボンニュートラルで、大気中のCO2濃度を上昇させないと定義されています。植物はCO2と水を吸収して成長するためです。実際のところバイオマスプラスチックにも環境課題は残るのですが、環境思いやり工業は環境対策素材としてこの商材を位置づけています。近年異常気象が普通になり始めていることを振り返ると消費者として環境問題へ貢献できるのであれば、価格が高くても環境思いやり工業の商品を購入する意義が見出せたのです。結果として著者は価格が高くても環境おもいやり工業の商品を購入することに至る影響を環境思いやり工業が提供している情報の集合から受けたのです。加えて、環境思いやり工業の社名が環境に対して思いやりある会社であることが連想される点も後押ししています。無意識ではありますが、環境思いやり工業が提供している商材は環境に優しいのだと著者は勝手に連想してしまっているのです。環境思いやり工業が商品と一緒に提供している情報の集合がお薬のように消費者に機能して、ある消費行動を誘発させる効果を発揮しているのです。価値経済工学では、環境思いやり工業の情報の例のように情報をお薬のように機能させる情報の集合を情報薬と呼んでいて、VMチャートを運用することでこの情報薬を開発することを目的にしています。
表2 架空の環境思いやり工業の商品スペック

価値の機能開発VMチャートでは価値の機能性分析VDシートの結果を用いてお薬のように機能する情報の集合(情報薬)を開発します。ここからは、「価値経済工学:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその2):価値の機能性分析」コラム、「価値経済工学:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1):お金と同じ性質分析」コラム、「価値経済工学:お金になる価値を科学的に作る(VMチャートその1):お金になりやすい価値開発」コラムを読んだことを前提として解説を進めて行きます。表3にはウェルネス・ワインについての価値の機能性分析VDシートの結果を示しています。価値の機能開発VMチャートではこの表3の結果を用いて表4に示すVMチャートを作成して行きます。先ずVDシートで得られた事業名をコピーして、VMチャートにペイストします。そして、各事業についてウェルネス・ワインと共通している点と共通していない点を分析して書き出します。事業名「癒しのワイン」を例に、共通点について「ワイン飲料」、「ワインではない付加価値商品」を書出し、共通していない点については「ワインで癒しを求めている人だけが対象」を書出しました。ウェルネス・ワインも癒しのワインもワイン飲料として商品を消費者に提案していて、一般的なワインとは異なる付加価値を消費者に提案している点において共通しています。この一方で、癒しのワインはワインで癒しを求めている人だけが対象に思えるのでウェルネス・ワインが想定している消費者よりもより限定された消費者に対して商品を販売している点において共通していません。集合論的な解説を加えておくとウェルネス・ワインを購入すると想定しているお客様の層に癒しのワインを購入すると想定できるお客様の層が含まれるので、癒しのワインのお客様層⊆ウェルネス・ワインのお客様層の関係が分析できるのです。つまり、癒しのワインのお客様はウェルネス・ワインのお客様に含まれる一方で、その逆で、ウェルネス・ワインのお客様は癒しのワインのお客様に含まれないことがあるのです。次に、共通点と共通していない点について共通の正体と源泉を関連付けして行きます。ここでのポイントは個別の共通点や共通していない点について正体と源泉を関連付けするのではなく、共通点の集合と共通していない点の集合として捉えて、その各集合に対しての正体と源泉を関連付けして書出します。共通である「ワイン飲料」と「ワインではない付加価値商品」の集合に対して、 正体:やすらぎ(MV8)、リラックス(MV9)、特別感(CV1)、癒し(CV2)、ストレス緩和(CV7)、疲労回復(CV8)、休息(CV9)、回復(SV3)、ご褒美(SV5) 源泉:ワイン、飲むマインドフルネス、疲労回復、癒し を関連付けすることができました。この過程において、正体の集合に対して「癒し」が源泉として不足していることに気が付くことができました。同様に共通していない点の集合に関しても同じ分析を行いますが、この例では共通していない点は1つだけなのでこの1つを集合と見なして共通している正体と源泉の分析を行います。この結果として、 正体:やすらぎ(MV8)、リラックス(MV9)、癒し(CV2)、ストレス緩和(CV7)、疲労回復(CV8)、休息(CV9)、回復(SV3) 源泉:ワイン、疲労回復、癒し が分析できて、共通している点の集合の分析と同様に「癒し」が新たな源泉として分析されました。この「癒しのワイン」と同様の分析を他の事業である「ウェルネス・ワイン」と「ウェルネスクラブ:有機葡萄栽培とナチュラルワインの購入クラブ」についても行うことで、新たな源泉として「贅沢品(高級品、嗜好品)」と「差別化」を見つけることができました。
表3 ウェルネス・ワインについての価値の機能性分析VDシート

表4 ウェルネス・ワインについての価値の機能開発VMチャート

価値の機能開発VMチャートでは価値の機能性分析VDシートの結果が基本となっていますが、そのVDシートの前提と同じように、分析した事業名の事業がビジネスとして成立していて、お客様がその商品/サービスを購入していることが仮説としての前提となります。つまり、対象としている事業が既に消費者がお金を支払うことで価値の交換が行われていていて、各事業がお金になる価値であることが基本条件となります。VMチャートではどのような情報の集合がお客様に影響を与えることで消費行動を成立させているのかを分析しながらその最適な情報の形、量、質の集合関係を解析するのが目的で、その基本となるのが既に市場において機能している情報の集合(商品/サービス)で、その情報の集合がお金と交換されている要素を分析することで、VMチャートで分析している経済価値(ウェルネス・ワイン)の情報の集合が備えている機能を可視化させながら分析するのです。既に市場で機能している情報の集合と同じ関係を分析することで市場においてお金になりやすい情報の集合関係を戦略的に開発できます。このウェルネス・ワインの例では癒しのワインとの分析において、共通している点においても共通していない点においても「癒し」がウェルネス・ワインを構成する要素(情報)の集合から欠けていることが分析できたので、仮にウェルネス・ワインが消費者に全く販売できない場合に、「癒し」をウェルネス・ワインを構成する要素(源泉)の集合に加えることで消費者がウェルネス・ワインとお金を交換しやすい情報の集合として機能する可能性が考えられます。特に、共通点の集合に対応する正体の集合に対応する源泉に不足している源泉が見つかった場合、この源泉はお金になりやすい機能として重要な要素である可能性があります。既に分析ができているように、ウェルネス・ワインのお客様層は癒しのワインのお客様層を包含するので、癒しのワインがお金になるならば、ウェルネス・ワインもお金になるの関係が導き出せます。集合論的には癒しのワインのお客様層はウェルネス・ワインのお客様層の部分集合になるので癒しのワインがお金と交換されるならばウェルネス・ワインもお金に交換されるのです。図1にはこの関係をまとめてありますが、つまり、仮にウェルネス・ワインがお金と交換されない不具合が生じた場合には癒しのワインに対して既にお金と交換されているお客様層に提案することでお金になりやすい機能が働くのです。この機能する情報を満たすためにはウェルネス・ワインを構成する要素の集合に「癒し」を新たな要素して加えることで機能する情報の集合(情報薬)を開発することができます。また、重要な事実としてウェルネス・ワインの名称には「ワイン」が含まれており、この要素(源泉)は既にワインに対してお金を支払っているお客様の層には機能する要素で、ウェルネス・ワインの要素の集合にも含まれています。表5にはお金になりやすい価値開発VMチャート結果から導かれたウェルネス・ワインの経済価値分析表を示しています。(この結果の詳細は「価値経済工学:お金になる価値を科学的に作る(VMチャートその1):お金になりやすい価値開発」コラムを参照して下さい。)ウェルネス・ワインのお客様の層を集合関係で記述すると 癒しのワインのお客様層⊆ウェルネス・ワインのお客様層⊆ワインのお客様層 となるのでウェルネス・ワインのお客様層はワインのお客様層の部分集合である関係も満たしています。厳密にはウェルネス・ワインの集合関係を説明するには複数次元における集合関係で説明するのが適切なのですが、ここでは簡略化しての解説に止めます。本来はワインを構成している要素(源泉)の分析を行い、その共通している要素を可視化させることで、ウェルネス・ワインとお金を交換する機能を開発するプロセスを行うことことで機能する情報の集合(情報薬)を開発します。

図1 ウェルネス・ワインのお客様層の集合関係
表5 ウェルネス・ワインの経済価値分析表:お金になりやすい価値開発VMチャート結果

共通していない点の集合に対応する正体の集合とその源泉の集合を分析する過程で見つけることができた源泉はウェルネス・ワインのお客様層として想定していないものの、新たな機能をウェルネス・ワインに備えることができる要素です。この要素をウェルネス・ワインを構成している要素(源泉)に加えることで新たなマーケティング戦略やブランディング戦略を組立てることができます。VMチャートの結果では「癒し」、「贅沢品(高級品、嗜好品)」、「差別化」を可視化させることができました。この内、「癒し」に関しては共通点の集合に対応する正体の集合に対応する新たな源泉としても分析できています。このようなケースは、図1に示しているように癒しのワインのお客様層がウェルネス・ワインのお客様層に含まれているような集合関係において導かれることが多いのですが、「癒し」をウェルネス・ワインの構成要素に加えるかについての判断にはお客様層の濃度を分析するのが有効です。このコラムではお客様層の濃度分析に付いては割愛して別のコラムで解説することにします。 「贅沢品(高級品、嗜好品)」や「差別化」についてはウェルネス・ワインを販売したりブランディングしたりする上で考慮するべき要素です。市場は刻々と毎日変化していて、お客様のウェルネス・ワインに対する価値観も変化し続けているのです。つまり、この連続的に変化している価値観に対してお客様が常にウェルネス・ワインとお金を交換してくれる経済価値としてウェルネス・ワインの価値(源泉の集合)を維持する必要があるのです。現時点においてお金になりやすい要素(源泉)の集合が分析できていても同じ集合が未来のある時点においてもお金になりやすい保証はないのです。ビジネスにおいてはこのような不確実な未来にも対応する努力が必要で、陳腐化する価値や価値観もあれば、メンテナンスしたり形・量・質を調整したりすることで維持・向上できる価値や価値観もあるのです。商品やサービスのブランドを維持・管理するには管理者が備えているある種のセンスが必要で、ハイブランドとして消費者に認識されている商品やサービスにおいては緻密で戦略的な努力が求められます。しかしながらある商品やサービスのブランドやハイブランドの管理者として適した才能を持っている人は限られています。価値経済工学ではこのような課題に対して誰でも数理的にブランドやハイブランドの維持・管理から戦略やその投資計画を作ることを可能にしています。 価値の機能開発VMチャートでは既にお金と交換されている価値の要素を分析しながら販売を計画している経済価値(ウェルネス・ワイン)の備えている情報の集合関係をエンジニアリングすることで今の市場においてお客様がウェルネス・ワインとお金を交換しやすい要素(源泉)の組合せを可視化させながら解析します。ウェルネス・ワインで定義しているベクトル(対象となるお客様層と販売価格)に応じて戦略上有益と判断できる要素は集合に組み入れることでよりお金になりやすい機能を作ることができるのです。価値経済工学では価値を構成している情報の形、量、質を計測しながら数理的にお金になりやすい価値の集合を確率的に明らかにし、その経済価値を効率的に開発するための要素のポートフォリオの最適化とそれに対応した効率的な投資計画を誰でも開発できるようになる手法と理論の研究開発を続けています。 著者 並木 幸久 Ver. 240916001 <参考コラム> お金になる価値の素 http://wiph.co.jp/wp/vee/element/ お金になる価値の必要条件と十分条件 http://wiph.co.jp/wp/vee/necessary_and_sufficient/ お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその1) http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part1/ お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその2) http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part2/ お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1) http://wiph.co.jp/wp/column-collection/http-wiph-co-jp-wp-vee-vds_part1/ 価値経済工学:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその2):価値の機能性分析 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/vds2/ 価値経済工学:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその3):価値の潜在需要分析 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/vds3/ お金になる価値を科学的に作る(VMチャートその1):お金になりやすい価値開発 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/vmc1/
「もの」や「サービス」を販売するにはそれらを購入してもらう必要があるので、「もの」や「サービス」を提供(供給)する人(会社)と「もの」や「サービス」が必要(需要)である人(会社)がつながり、お金で取引(トランザクション)できる条件が揃う必要があります。需要と供給がつながることで「もの」や「サービス」が取引されるようになりますが、ただ需要と供給があるだけでは「もの」や「サービス」はお金に変わらないのです。経済学ではこの需要と供給の関係を需要曲線と供給曲線を用いることで「もの」や「サービス」のプライシング(値付け)を考えることができます。ところが、プライシングが適正でも「もの」や「サービス」は売れないのです。つまり、適正なプライシングは「もの」や「サービス」がお金に変わる条件として必要ではあるものの十分ではないのです。 車を運転していてガス欠で車が止まってしまった場合、ガソリンが通常の価格の2倍でも購入したい気持ちになったり、確実に10万円/日もらえるお仕事と確実ではないけど20万円/日もらえるお仕事があった場合に、ある人は確実に10万円/日を求めるかも知れませんが、ある人は20万円/日を求めたりするかも知れません。日常生活で発生する取引は経済学の理論だけでは計算できないことも多く、近年行動経済学として消費者心理とプライシングの関係が研究され人が必ずしも合理的な判断を行わないことが科学的に証明されています。ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが共同で発表した「プロスペクト理論」は2002年にノーベル経済学賞を受賞し、行動経済学の中核理論として後続的な研究成果が排出され続けています。 価値経済工学では経済学的な視点や心理学的・行動経済学的な視点を踏まえた上で、情報の組合せで変化する需要を分析することで、潜在的な需要を明らかにします。ビジネスにおいて需要に応じた「もの」や「サービス」を市場に供給しますが、この考え方はある市場においてある「もの」や「サービス」に対して需要があるからです。この一方で、市場には様々な需要があり、また同時に様々な「もの」や「サービス」があります。多くの場合、ある「もの」や「サービス」はある需要に対して供給されますが、別の需要には供給されないのです。もしもある「もの」や「サービス」が既存の需要以外にも潜在的な需要があるとしたら同じ「もの」や「サービス」で別の需要に対しても供給できることになり、取引できるお金の量は倍、もしくは何十倍にもなるかも知れません。このような上手い話があるのかと思う人も多いかも知れませんが、意外とこのような現象は多いのです。 「ハイチオール」はエスエス製薬株式会社が製造・販売するL-システインと呼ばれる薬効のあるアミノ酸を主成分とする医薬品ブランドで、シミやソバカス等を改善するお薬として販売されています。つまり、シミやソバカス等を改善したい需要に対して供給されている製品で、この需要と供給の関係においてお金の取引(トランザクション)が成立しています。ところが、ハイチオールの主成分であるL-システインにはアルコールに含まれる有害物室(アセトアルデヒド)を無毒化する作用があるのでアルコールによる頭痛や吐き気の予防や改善、二日酔いの緩和や改善にも効果があるのです。つまり、ハイチオールの潜在需要としてお酒を飲む人やアルコールによる不具合の改善を必要とする人達が分析できます。このハイチオールの副次効果を知っている人もいますが、多くの人にはハイチオールはシミ・ソバカスのお薬として知られてはいますが、一般的には二日酔いのお薬とは思われていないようです。まれに著者のようにハイチオールの副次効果だけを必要としている人もいますが。エスエス製薬さんはこの副次効果も把握している一方でハイチオールのブランドはシミ・ソバカス対策のお薬として認可を得ているので、あえてアルコールに対策のお薬としての認可は得ない戦略のようです。 ハイチオールは一例ですが、ある「もの」や「サービス」が既存の需要だけではなく、潜在的な需要へも供給できるのです。ここで大切なのはある「もの」や「サービス」が備えている情報を分析して異なる需要にも対応させることができるのかについて解析できればとても便利です。この課題に対して開発されたのが潜在需要分析のVDシートとVMチャートです。潜在需要分析VDシートに付いて詳しくは、「価値経済工学:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその3):価値の潜在需要分析」コラムを参照して下さい。多くの場合、ある「もの」や「サービス」はある需要に対して開発するので、そもそも他の需要に対して供給することは想定しなくても良いのです。これはある種の思い込みで、同じ情報(ものやサービス)でもその伝え方や表現によって、人々の印象や意思決定は異なるのです。この心理現象はフレーミング効果とも呼ばれ、1981年にプリストン大学名誉教授のダニエル・カーネマンと心理学者のエイモス・トヴェルスキーの共同研究成果としてアメリカの学術誌「サイエンス」に発表されました。情報(需要と供給)に対する「枠組み」(フレーム)をどう設定するかによって、人々の情報に対する受け止め方が変化するのです。VDシートではこの情報の組合せを効率的に抽出しながら需要と供給の関係を分析できるようにし、VMチャートで分析された情報を用いて潜在需要を可視化させながら消費者がお金を支払う条件に情報の集合関係を整理することができます。 潜在需要分析VDシートでは、ある「もの」や「サービス」を必要とするお客様・利用者、利用しない人・企業、なぜ利用しないのかについて分析を行います。表1はウェルネス・ワインについての潜在需要分析VDシート例です。ウェルネス・ワインを必要とするお客様・利用者について、「働いている女性」、「ワインを飲みながら癒されたい人」、「リラクゼーションを楽しみたい人」、「ご褒美を求めている人」、「ハイエンド・ホテル」が分析されました。「働いている女性」に関してはそもそもウェルネス・ワインを開発する際に定義したベクトルの向き、つまり想定している顧客(需要)です。詳しくは、「価値経済工学:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1):価値のお金と同じ機能分析」コラムを参照。「ワインを飲みながら癒されたい人」は働いている女性に限らずウェルネス・ワインを購入してもらえるお客様層で、「リラクゼーションを楽しみたい人」、「ご褒美を求めている人」も同様に想定される顧客層です。「ハイエンド・ホテル」に関してはビジネスのカテゴリーでウェルネス・ワインがハイエンド・ホテルに必要とされると仮定しているもので、本当に必要とされるかは分かりません。ここでのポイントは、ウェルネス・ワインがお金を支払ってでも必要とされる需要を見つけることですが、ウェルネス・ワインを販売するまでは本当に各分析した需要に対してウェルネス・ワインを販売できるのか分かりません。ウェルネス・ワインの価値(情報の集合)がある需要(お客様・利用者の情報)に対応していると考えられるのでこの対応関係がお金により成立すると分析しているのです。ある価値をXとしてその価値を構成する情報が3つ(ix1、ix2、ix3)ある場合、X={ix1、ix2、ix3}とし、ある需要をYとしてその需要を構成する情報が2つ(iy1、iy2)ある場合、Y={iy1、iy2}として、Y=f(X)となる関係(関数)を見つけたいのですが、簡単にはこの魔法の関数fを見つけることはできません。このコラムでは詳細を割愛しますが、価値をある情報の集合Xとし、需要をある情報の集合Yとみなし、この2つの集合を関係付けることができる写像(関数)を解析するのが潜在需要分析のVDシートとVMチャートの役割です。VDシートではこの魔法の関係(写像、関数)を探るために「お客様・利用者」の分析と同じように、ウェルネス・ワインを「利用しない人・企業」と「なぜ利用しないのか」についても分析を行うことで隠れている情報を文章として可視化させて行きます。
表1 ウェルネス・ワインについての潜在需要分析VDシート例

表2は表1の潜在需要分析VDシートを踏まえて作成した潜在需要分析VMチャート例です。VDシートで抽出した需要層をInterest(興味がありそうなお客様・利用者層)のコラム(列)に書き出し、それに対応する「製品/サービス」と「共通正体/源泉」を書き出します。また同時に、No Interest(Interestの逆で、興味がないと思われるお客様・利用者層)も書き出し、それに対応する「製品/サービス」と「共通正体/源泉」も書き出します。Interestの「働いている女性」を例に解説をすると、この働いている女性はウェルネス・ワインを販売できると考えている需要層ですが、この需要層がお金を払ってでも購入すると考えられる製品やサービスとして、「疲れないハイヒール」と「美容効果のあるメガネ」が分析できました。ハイヒールもメガネもウェルネス・ワインとは全く異なる製品ですが、これら3つの製品が共通しているのは働いている女性の需要になる点です。つまり、この3つの製品は製品としては異なるものの、働いている女性の需要に対しては共通する情報を備えているのです。この共通している情報を分析するために表3には働いている女性の需要に対する正体(消費者のニーズ情報)と源泉(製品に対する価値観の情報)をまとめてみました。ウェルネス・ワインの正体と源泉は「お金になる価値を科学的に作る(VMチャートその1):お金になりやすい価値開発」コラムで得た結果を利用しています。ウェルネス・ワインと同様に「疲れないハイヒール」と「美容効果のあるメガネ」の正体と源泉を分析するとウェルネス・ワインの分析では見つけることが出来なかった源泉として、「予防」と「美容効果」を見つけることができました。加えて、ハイエンド・ホテルの分析からは新たな源泉として「高級」も見つけることができました。これらの言葉(情報)はウェルネス・ワインを構成する情報ではないものの働いている女性の需要に対して対応する情報の可能性があります。つまり、ウェルネス・ワインに「予防」、「美容効果」、「高級」の要素を加えることで働いている女性の需要にはより対応することが考えられるのです。ただし、新たな要素を加えればウェルネス・ワインがより売れるようになるのではなく、ある需要に対してお金と交換されやすい情報の部分的な集合を見つけられたに過ぎません。より重要なのはウェルネス・ワインを構成する情報(源泉)と需要を構成する情報(正体)がお金(3つの機能の集合:交換性、計測性、貯留性)によって交換される関係を整理することです。お金がない世界では需要と供給がつながれば消費されますが、消費に対して生産もしくは労働する対価がないので消費されたらなくなってしまいます。この一方で、お金があることにより生産や労働の対価としてお金が支払われることで需要に対して供給を続けることが可能となるのです。 No Interestの分析についても「ウェルネスの意味が分からない人」を例に解説したいと思います。ここではウェルネス・ワインに関心を持たな人やビジネス等の層を分析し、その人やビジネス等がお金を支払ってでも購入したいと思われる製品/サービスとそれらの正体/源泉を分析します。「ウェルネスの意味が分からない人」には「自分を高めることができるサービス」にはお金を支払ってでも需要があると分析し、その正体は見つけることができませでしたが、源泉として「エンハンスメント」を見つけることができました。この言葉は英語のEnhancementをカタカナで表記したものですが、能力などを向上させることを意味しています。同様に「美味しさ」、「楽しさ」、「ノンアルコール」、「栄養価」も新たな源泉として見つけることもできました。ここでのポイントは本来ウェルネス・ワインのお客様にならない人やビジネスを分析し、これら盲点になっている人達が必要としている価値を作ることができるのであれば潜在需要として考慮できるのです。つまり、現在定義しているウェルネス・ワイン(源泉の集合)では関心を持たない層でも新しい源泉の集合を構成することで新しい潜在需要を具体化することでお客様にすることができるのです。この新たに見つけた源泉を既存の源泉に組み入れるかは事業の戦略、ウェルネス・ワインのブランディング戦略、ウェルネス・ワインのマーケティング戦略によるので、直ちに源泉に組み入るのではなく、レゴのブロックのように戦略に応じて利用するブロック(源泉)を変えることで事業やウェルネス・ワインの経済価値を調整することができるのです。
表2 ウェルネス・ワインについての潜在需要分析VMチャート例

表3 働いている女性の需要に対する正体と源泉

潜在需要分析VDシートでは既存の需要と需要が見込めない情報を可視化させ、潜在需要分析VMチャートでは供給する情報の集合(ウェルネス・ワイン:経済価値)と対応する情報を解析することができます。一般的に、ある市場にある商品やサービスを供給するにはその市場における消費者に必要とされ、お金を支払ってでもその商品やサービスが消費者に求められる必要があります。つまり、ある商品やサービスが消費者に必要とされると同時にある層の消費者に適正な価格で供給されることで需要と供給にトランザクション(取引)が生じます。供給するものやサービスを構成している情報(源泉:ものやサービスに対する価値観)の集合が消費者の需要を構成している情報(正体:消費者のニーズ)の集合に対応しているかをVDシートでは可視化させながら分析することができますが、消費者がお金を支払ってでも必要な情報の集合を調べるためにはVMチャートが必要でお金の機能に対応させることで分析した各正体で各需要と潜在需要を整理し、それら正体が対応する源泉を見つけることで消費者がお金を支払ってでも必要とする源泉と正体の対応関係を明らかにして、ある需要層に効果的な情報の集合を戦略的に開発することができるのです。価値経済工学では言葉を数字のように扱うことで科学的に需要と供給の関係を可視化させながら需要と供給において効率的にトランザクション(取引)が成立する確度を高めることができるのです。潜在需要分析VDシートとVMチャートは事業戦略の開発や商品・サービスのブランディング戦略の開発やマーケティング戦略の開発にも応用することができて、事業計画で用いる数値計画と同様に戦略を可視化させながら第三者と共有したり効率的に戦略をレゴのブロックのように再編することができるようになります。 著者 並木 幸久 Ver. 250101001 <参考コラム> お金になる価値の素 http://wiph.co.jp/wp/vee/element/ お金になる価値の必要条件と十分条件 http://wiph.co.jp/wp/vee/necessary_and_sufficient/ お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその1) http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part1/ お金になる価値 の見つけ方(VDメソッドその2) http://wiph.co.jp/wp/vee/vdm_part2/ お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその1) http://wiph.co.jp/wp/column-collection/http-wiph-co-jp-wp-vee-vds_part1/ 価値経済工学:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその2):価値の機能性分析 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/vds2/ 価値経済工学:お金になる価値を見える化(KPI)する(VDシートその3):価値の潜在需要分析 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/vds3/ お金になる価値を科学的に作る(VMチャートその1):お金になりやすい価値開発 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/vmc1/ お金になる価値を科学的に作る(VMチャートその2):情報の機能開発 http://wiph.co.jp/wp/column-collection/vmc2/
技術の発展に伴って、なりすまし詐欺や怪しい投資案件はより巧妙になっています。この一方で、科学的に収益を開発する手法も進化しているのですがあまり一般に知られることはありません。興味深い実態として、科学的に利益を作る研究は個人でも可能で、その手法は企業に導入されることで巨額の利益を生み出すこともありますが、その技術や手法は秘密裡に運用される必要があるのです。誰もが利用してしまうと一般化されることで理論上期待できる収益を得るのが難しくなったり、ある現象を予測するモデルが外因により性能を担保できなくなったりするのです。また、世界の大きな課題として新しい技術や収益構造(ビジネスモデル)を規制する法や仕組みの整備が追い付かないので、科学的な収益開発手法は規制されない限り効率的に収益を生み出し続けることもあります。ブロックチェーン技術の発明により仮想通貨が登場したり、高性能コンピューターを用いた高速取引(HFT:ハイ・フリークエンシー・トレーディング)が実現したりしていますが、これら新しい技術や手法を用いた収益開発システムに共通しているのは背景に科学的な理論、多くの場合は数学的な理論の応用が具体化されることで運用されています。学術的には金融工学として体系化されたり説明されたりすることもありますが、その実態は1つの学問領域として定義するには余りにも多様化し始めているように思います。価値経済工学ではこの多様化している科学的な成果を整理整頓しながら収益を開発するメカニズムを研究開発し、その性能を実験的に検証しながら価値と経済のメカニズムを解明し、体系的にそのメカニズムをまとめる研究が取り組まれています。 お金を確実に増やせる方法として、銀行にお金を預けることでその利息を受取る方法や信用の高い債券を購入することでそのクーポン(利率)に応じた利息を受取ることなどが考えられますが、日本の普通預金の平均金利は0.020%(2024年5月27日9:00現在)(参考情報1)で、100万円を1年間預けると200円の利息を得ることができます。また、日本国債3年の場合、年利回りは0.461%(2024年6月1日02:05現在)(参考情報2)で、仮に100万円分の日本国債3年を購入すると1年間で約4,410円の利息を受取ることが期待できます。ここでの条件は預金も日本国債もお金が増えるのは未来で、日本国債の場合、半年毎に利息を受取ることもできますが、将来お金を得られる点においては同じであっても、得られるお金の額も、お金を得るための条件も異なるのです。ここで面白いのは、債券の場合、金融機関から購入することもできますが、金融市場で金融商品として購入することもでき、後者の場合、新たに発行される債券を売り出す発行市場と、すでに発行されている債券を売買する流通市場の2つがあり、流通市場の場合、その債権自体の価格が変動するので、債券から生じる利息に限らず債権の価格が値上がりした際にその債権を売ることによる差益も期待できます。それならば多くの人は債権を流通市場で購入することで未来得られるお金を増やすことができそうですが、未来得られるお金が増えるとそれに伴ってリスクも増加するのが一般的な関係です。このリスクとは債権の価格が値下がりすることで損が発生したり、お金が必要な時に債権をお金に換えたりすることができないなどさまざま不利益要因です。このリスクの点において、銀行にお金を預金する場合、銀行が潰れない限りいつでもお金を引出すことができるので低リスクにお金を運用することができる一方で、そのリターン(利率)が低いデメリットが理解できます。 人によっては即座にお金を増やしたい人もいるので、このような人には銀行にお金を預けても1年後に得られる少額の利息に魅力はなく、手元にある100万円を即座に200万円、500万円、1億円に増やす方法があればとても魅力的です。このような即座にお金を増やしたい人は投機取引(ギャンブル)を行うことで手元にあるお金を短時間に何倍にも何百倍にもすることがあります。ギャンブルでは自分の意思である条件が発生すること等(ゲーム)にお金を賭けて、その勝負に勝つことで条件に応じた配当を受取ることができますが、負ければ賭け金は無くなるのでハイリスク・ハイリターンの環境です。この投機取引においてある条件が発生する確率を計算したり推定することでリスクを低減したりリターンの効率を向上させたりすることができる場合もあります。1例として、トランプカードを用いたギャンブルのブラック・ジャックゲームではトランプのカードを記憶することでギャンブルをする人は約50.75%の確率でゲームに勝てることが知られています。(参考情報3)また、アメリカのベル研究所研究者のジョン・ラリー・ケリー・ジュニア(John Larry Kelly, Jr., 1923年 – 1965年)が1956年に考案したケリー基準(公式)が投機取引や投資取引において用いられていて、複利収益率が最も高くなる最適な投資サイズを算出することができるので、著名投資家やプロ投資家も参考にしているようです。 <ケリー基準:K> K= (p × (B + 1) – 1) /B=E/B=エッジ/オッズ p:勝つ確率 B:オッズ(勝った時に得られる利益) E:エッジ(期待値):(利益×勝つ確率)+(損失×負ける確率) 仮に、1ドルの賭け金が2倍になるか、それとも没収されるゲームにおいて、B=1として、K = 2p – 1として計算することができます。 ギャンブルや投資において、ケリー基準を知っていることで、手持ち資金を効率的に増やすために何パーセントの手持ち資金を賭けるべきか算出することができます。例えば、確率50%で勝つと賭け金の3倍がもらえて、負ける確率50%で負けると賭け金を失うギャンブルに参加するとします。直感的に有利な条件に思えますが、手持ちの資金100万円を200万円に増やしたいと目論んだ場合、勝つと賭け金の3倍をもらえる一方で、負けると賭け金を失うのでゲームを続けることができなくなります。そこで、賭け金を調整することでギャンブルする戦略を立てるのですが、いくら賭けるのが良いか悩みます。100万円を賭けて、負けると破産してしまい、1万円を賭けた場合、勝ち続けたとしても短期間に200万円を得るためには多くの勝負が必要になりそうです。50万円ずつ勝負することを考えると2回連続で負けそうな気もしますね。このようなギャンブルにおいていくら賭けると効果的に200万円を得ることができるのかを教えてくれるのがケリーの公式(ケリー基準)です。K=エッジ(期待値)/オッズを計算することでいくら賭けると効率的にお金を増やすことができるのか科学することができます。この段階で運だけに頼るギャンブルから科学的にお金を増やすための投資に変わり、このゲームにおける投資戦略を組立てることで効率的に手持ち資金を増やせるのです。そこで、このゲームにおけるKを計算するための期待値は、(利益×勝つ確率)+(損失×負ける確率)=(200万円×0.5)+(-100万円×0.5)=50万円で、オッズは元金を含まない見込まれる最大利益なので、オッズ=300万円-100万円=200万円と計算できまるので、K=50万円/200万円=0.25=25%と算出できます。つまり、ケリー基準によると毎回手持ち資金の25%(25万円)を賭け続ければ、最速で資金が増加することを数学的に示唆してくれるのです。但し、確率的には4回連続で勝負に負けることもあるので、確実に儲けられる訳ではないので少し心配になりますね。 この心配を解決できるのがポートフォリオ理論で、ハリー・マックス・マーコウィッツ(Harry Max Markowitz)(1927年8月24日- 2023年6月22日)は1990年に「資産運用の安全性を高めるための一般理論形成」によりノーベル経済学賞を受賞しました。正確にはハリー・マックス・マーコウィッツ先生の研究成果が発展して、今日では現代ポートフォリオ理論(Modern portfolio theory)として更なる発展が進んでいます。一般的には現代ポートフォリオ理論は単にポートフォリオ理論と呼ばれていて、金融工学では投資の内部収益率、現在価値、比較原則等を考慮しながら最適なポートフォリオ設計することで効率的に収益を開発する研究が行われています。このポートフォリオとは金融商品に限らず一切の投資案件やなにもしない選択も含まれる組み合わせの単位の事です。つまり、ポートフォリオAには証券1への投資+債権1への投資+金への投資が含まれていて、ポートフォリオBにはベンチャー企業1への投資、ベンチャー企業2への投資、ベンチャー企業3への投資が含まれていて、ポートフォリオ3には証券1への投資+債権1への投資+ベンチャー企業1への投資+なにもしない選択が含まれていると言ったようにまとめる単位です。ポートフォリオ理論ではリスクと期待値を用いることで資産を安全に運用するポートフォリオを開発する手法を体系化しています。ちなみにここでのリスクとは危険という意味ではなく、価格変動の可能性を意味していて、統計学における分散とほぼ同じ意味合いで、将来大きく値上がりする可能性がある一方で、大きく値下がりする可能性もある状況が高リスクの定義になります。投資信託商品などの開発にはこのポートフォリオ理論を用いて開発されているものも多いのですが、ポートフォリオ理論は金融商品に限らずギャンブルの賭け方戦略や上場株式への投資戦略の開発にも応用することができます。お金を効率的に、また、確実に増やす方法の1つとして最適なポートフォリオを設計し、戦略的にポートフォリオを運用することで科学的に実現させることが可能です。実はこの運用方法には最先端の技術や科学が応用されていて、今後益々発展することが予測されます。この一方でこれら技術や手法は秘密裡に運用されることが多いので一般化されて多くの人が利用したり応用したりできるようになるには相当な月日が流れると思われますが、行動経済学の発展や人工知能系の進化により人間が想定できなかった運用手法が発見されたり実行可能になったりし始めていてマクロ経済学の定説や理論が今日の経済で発生する現象や結果について説明することができない事態が始まっています。この現象は単なる情報に価値が備わり、その価値が経済化されるまでの時間が短くなることで、価値の発生とその性質の変化による経済化に関わる確率的な密度系が技術や科学の進歩により指数関数的に変化しているのが要因で、この新たな経済のパラダイムシフトに対して価値経済工学は1つの有効な今日の経済課題に対応できるソルーションになれるのかも知れません。 ポートフォリオ理論を応用することで、ポートフォリオを構成する投資対象の組み合わせを最適化するだけでなく、数学を応用することで確実に儲かる運用方法を導き出すこともできますが、この確実にはある一定の条件が必要となり、決められた条件における確率を分析することにより長期間最適化されたポートフォリオを適切に運用することにより確実に儲けることが可能となります。この最適ポートフォリオを成長させるための解説は長期投資で確実に儲かる法則(金融工学の応用)のコラムで解説したいと思います。 著者 並木幸久 Ver. 240602001 参考情報 最新貯金平均金利情報, 株式会社日本記入通信社, https://www.nikkin.co.jp/kinri/average.html, 2024/06/01. 日本国債3年, SBI証券, https://www.sbisec.co.jp/ETGate/?_ControlID=WPLETmgR001Control&_PageID=WPLETmgR001Mdtl20&_DataStoreID=DSWPLETmgR001Control&_ActionID=DefaultAID&burl=iris_indexDetail&cat1=market&cat2=index&dir=tl1-idxdtl%7Ctl2-JP3YT%3DXX%7Ctl5-jpn&file=index.html&getFlg=on, 2024/06/01. デービッド・G・ルーエンバーガー, “最適ポートフォリオ成長”, 金融工学入門, 日本経済新聞出版社, 2015, p647-683.